診療報酬という仕組みにより、地域差を感じずに医療サービスを受けることができる日本。反対に、医療機関はサービスに自由な料金設定ができないことから、収益性を改善できず「赤字」に陥る病院も少なくありません。では、「赤字病院」と「黒字病院」にはどのような違いがあるのか、患者数の違いではない「現代だからこそ生じる差」について、株式会社アリオンシステム代表取締役社長の山本篤憲氏が解説します。

紙カルテから電子カルテへの移行で効率化を図る

医療の標準化・効率化を図る政策として重要な動きとして、レセプトデータ提出の電子化が挙げられます。

 

2015年3月31日までの書面でのレセプトデータ提出の完全廃止および完全オンライン化を目標として、各医療機関にはレセプトデータのオンライン提出に必要なレセプトコンピュータの導入が厚生労働省より推奨されました。

 

レセプトとは診療報酬明細書のことで、1回の診療行為における診療内容を書き出したものです。一般企業ではこうした情報はデジタルベースで管理するのが当然ですが、医療業界では、手書き書類でのやりとりも根強く残っていました。

 

しかし、電子化が遅れているとされてきた医療業界にも、こうして段階的に電子化の波が押し寄せてきました。院内の医療情報をデジタルデータで扱っていない病院は、公的な意味でも「時代遅れ」の烙印を押されてしまうようになってきたのです。

 

そして今、レセプトデータの提出に次ぐデジタル化の波として避けて通ることができないのが、電子カルテの導入です。

 

紙カルテは目当ての情報を見つけるまで何度でもページをめくらねばならず、しかもその間はほかの医師・看護師は同じ情報を閲覧できないという弱点があります。一方電子カルテはそれらを補うばかりでなく、検索性、履歴の同時閲覧性などを大幅に高めることができます。

 

誰の手元に目当ての紙カルテがあるのかと院内を探し回っていたストレスから看護師らを解放するにとどまらず、医師は診察と並行して診療録を打ち込み、診察室から検査室への検査のオーダーまで手元で行えてしまいます。

 

文字はキーボード入力ですから読みやすく、医師ごとのクセのある文字を読み解く看護師や医事課のスタッフの苦労まで一掃されています。こうした高い利便性によって、電子カルテは医業まわりの作業効率を格段に向上させているのです。

 

さらに、紙カルテでは必要だった「運ぶ」という雑務はゼロになります。電子カルテはデータを必要な部署やスタッフにすぐに送ることができますから、診察室から各部門へと紙カルテを運んでいた看護師や職員の労力は一気に削減されます。彼ら彼女らは、医療の仕事に携わる者として、別のもっと重要な仕事に時間を割けるようになるのです。

 

このように、雑務で現場を忙しくしていた紙カルテの弊害をあぶりだし、医師や看護師の生産性向上を実現するのが電子カルテです。

 

その効果はさらに波及し、雑事解消に伴う職場環境の改善、快適な職場が生まれることによる離職率の低下などにも効果を発揮しています。

 

若い看護師や医師ほど自身の職場を検討する際、電子カルテが導入されているかは真っ先に確認するといいます。優秀なスタッフの確保にも電子カルテの導入は、もはや欠かせない要素になりつつあるのです。

 

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    ※本連載は、山本篤憲氏の著書『病院を発展・黒字化させる 電子カルテイノベーション』(幻冬舎MC)より一部を抜粋・再編集したものです。

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    山本 篤憲

    幻冬舎メディアコンサルティング

    日本の病院の約4割は慢性的な赤字経営に苦しんでおり、高い人件費率がいちばんの原因になっています。その解決策として挙げられるのが、電子カルテの導入による業務効率化ですが、中小病院の約6割がいまだ導入に踏み切ることが…

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