景気後退のリスクは上昇
新型コロナウイルス感染拡大は、サプライチェーンの崩壊をもたらし、ロシアによるウクライナ侵攻以前から、世界経済はすでにスタグフレーションに向かっていました。ロシア・ウクライナ情勢はこのトレンドをさらに強めたといえます。
インフレ率見通しの引き上げに加え、当社のエコノミクス・チームによる2022年の世界経済成長率見通しについても、前回の見通し(2021年11月時点)の4.0%から3.7%に引き下げています。
また、経済減速がさらに進み、インフレ率がより長期間、高水準で推移するリスクも想定しています。そして、ロシア・ウクライナ情勢の影響が大きくなるほど、先行き不透明感は強く残ります。
賃金・物価スパイラル的上昇やロシア・ウクライナ情勢の深刻化は、この点で懸念要因といえます。
キース・ウェイドは次のように述べています。
「我々のリスクシナリオのなかには、ロシアがウクライナ侵攻を継続し、東欧(ポーランド、ルーマニア、ハンガリー、スロバキア)とバルト三国との緊張を高めるというシナリオがあります。」
「コモディティ価格の上昇は、インフレ率をさらに上昇させ、消費者や企業の重しとなることから、経済活動の大幅な減速につながります。これにより、世界経済成長は低迷、インフレ率上昇という、さらにスタグフレーションが進む環境となります。」
その他にも、リスクは存在し、たとえば、そのリスク要因を起因とする消費者支出の低迷が景気後退につながる可能性もあるとキース・ウェイドは言います。
「消費者支出の低迷を引き起こす要因となり得るリスクは2つ存在します。1つ目は、供給ボトルネックが、支出の増加を妨げることです。」
「車などの大きな買い物は、供給が不足しており、またアジアを中心とした多くの地域では、いまだ旅行には制限があります。これは、供給が追い付くまで、経済にさらなる穴をあけることにつながります。」
「2つ目のリスクは、消費者が貯蓄を支出に回す選択をしないことです。」
ただし、これまでのところは、パンデミックで積み上がった貯蓄の存在が、過去の景気循環との主な相違点であるといえます。過去においては、高いインフレ率とアグレッシブな金融政策の引き締めが、消費を低迷させ、景気後退に陥っています。
当社のエコノミクス・チームでは、経済再開が今後も継続することで、消費者は貯蓄を支出に回し、世界経済成長をけん引すると見通しています。
福澤 基哉
当社・インベストメント・マネジメント株式会社
執行役員/プロダクト統括
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