スタグフレーションの可能性
キース・ウェイドは、次のように述べています。
「2022年内にサプライチェーンは徐々に正常化するとみており、ロシア・ウクライナ情勢が安定化した場合、コモディティ価格も落ち着く余地があります。」
キース・ウェイドは、インフレ圧力の緩和に伴い、世界のインフレ率は2023年に2.8%に低下すると見込んでおり、ロシア・ウクライナ侵攻が起こる前に想定していた見通し2.7%と同水準となっています。
そうは言いながらも、足元のインフレ圧力の拡大は、一部の主要国経済でみられており、特に米国では、賃金・物価スパイラル的上昇が懸念されています。
「2021年のインフレ率上昇は、当初、航空、ホテル、レストランなどの経済活動再開による恩恵を受けたセクターが主導していました。しかし、足元では、シェルター価格(家賃・宿泊費)が大幅に上昇するなど、シクリカルな領域でインフレがみられています。」
「全般的には、米国消費者物価の構成項目の約80%が4%(前年比)以上に上昇しています。つまり、足元でのインフレは、インフレを加速させている供給ボトルネックによる一時的なものだけではなく、超過需要も反映されていると考えています。」
「米国でみられる、シクリカルな領域にも拡大するインフレ圧力は、長期化し、賃金・物価スパイラル的上昇につながる可能性があることから懸念要因といえます。」
賃金・物価スパイラル的上昇への懸念は、1970年代のインフレの経験と比較される要因のひとつです。1970年代は長期にわたり、原油価格の変動が激しい局面が続き、欧米で賃金上昇につながりました。
スタグフレーションは、経済成長の減速とインフレ率の加速が同時に見られることであり、結果として景気後退につながる場合が多いとされます。
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