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「大学全入時代」でも中学受験戦争はますます激化
近年、大都市とその周辺を中心に、より質の高い教育を掲げる国立・私立の一貫校の受験熱は高まる一方です。
多くの場合の最終学歴となる大学入学だけでいえば、現在は、競争倍率が高く受験地獄といわれた1980~1990年代とは異なります。少子化で受験生の数が少なくなり、受験者数が大学の入学定員総数を下回る「大学全入時代」になっています。進学先を選ばなければ、必ず大学に入れるということです。
しかしそれにもかかわらず、わが子を少しでもいい学校・大学に入れたいと、特に首都圏の中学受験者数は右肩上がりで増加しています。
今後、社会で求められる学力が変わり、学習指導要領も教科書も難化しているなか、確かな学力を身につけさせるために「早い段階で優れた学校に入れよう」と考える家庭が増えているようです。
大手新聞社では、「私立中の受験者が増えた背景の一つには、コロナ禍でICT対応が遅れた公立中への不安もある」と報道しています。
「文部科学省が昨年4月に行った調査では、公立小中高校で休校を実施する1213自治体のうち『授業動画の配信』は10%のみ。森上教育研究所が同時期に首都圏の私立中高224校に行った調査では63%がオンラインを活用していた。一斉実施が求められる公立校に比べ、私立校は各校ですばやく判断できるためだ。」(読売新聞、2021年11月20日)
公立校のICT対応の遅れが、中学受験熱に拍車をかけたのです。首都圏の中学受験者数は2021年に5万人を超え、2022年入試ではさらにこれを上回ることが予想されています。