「理科の知識があるか否か」は他科目の理解度にも影響
理科は、私たちの生活に深く関わっています。むしろ世界は理科でできているといっても過言ではありません。国語で昆虫などの生き物について書かれた文を読むときにも、理科の知識のあるなしで理解度が変わります。地理の農作物や地場産業も、理科の植物や動物、気象の内容などが関わっています。
中学2年の化学で習う電気分解も、一見難しそうですが、どの家庭にもある日用品に使用されているアルミニウムの生成過程にも使われています。そういう身近な事象から「何からできているのか」「どうなっているのか」「なぜそうなるのか」といったことを紐解いていくのが、理科の学習です。
■まずは教科書や資料集をきちんと読むことが重要
具体的な学習のポイントとしては、まずは教科書や資料集をきちんと読むことです。そして教科書の単元の初めもしくは終わりに書かれている「考えてみよう」「調べてみよう」「確かめてみよう」といったポイントにも取り組んでみることをお勧めします。
OECDの「生徒の学習到達度調査2018年調査(PISA2018)」で、日本の生徒は、科学的リテラシーは高い反面、関心・意欲が低いことが分かっています。小学生のときは好きだったのに、中学になると理科が嫌いになる生徒が多いのも特徴です。
理科において最も大切なことは、自分の気になったところ、興味をもったところを探究するという姿勢で、学習を進めることです。「なぜだろう?」と思ったことはその場ですぐに調べることをお勧めします。インターネット上には文字や映像で「なぜ」を解決できる環境が整っています。その途中におそらく「次のなぜ」が出てくると思いますが、理科の学習としては大正解です。根気強く「なぜ」を追ってください。それから、家族や友人などを相手に「自分が理解したことを人に説明できるか」を確認するのも効果的です。
覚えることが多いからこそ「単純な暗記」では戦えない
社会は一般に、理科と同様に覚えることが多い「暗記科目」と考えられています。しかし、断片的な知識をただ機械的に覚えようとしても限界があります。また、そういうただ詰め込んだだけの知識はすぐに忘れてしまいます。
社会の学習で有効なのは、一つの事柄の理由や背景を考えて、その前後のつながりをストーリーのように覚える方法です。
■例えば「シラス台地の特徴」をストーリー仕立てで覚えると…
先日、地理の時間に九州のシラス台地を学習しました。シラス台地の産業では豚や鶏、牛などの畜産業が盛んです。
しかし、ただそのことだけを暗記するのではありません。
九州南部に広がるシラス台地の地形を見ると、霧島山や姶良(あいら)カルデラなどからなる火山地帯です。つまり、火山灰や軽石といった火山噴出物が堆積してできたのが、シラス台地です。火山灰の多い地質の特徴は水はけが良いことです。水はけが良過ぎて、稲作のような水を大量に必要とする作物の栽培には適しません。そこで保水性がない痩せた土地でも育てられる丈夫な作物として、サツマイモが多く栽培されるようになりました。そして豊富なサツマイモを家畜の餌にして畜産業が発展していき、薩摩の黒豚といった地域のブランドが育っていったのです。
このように、物事の順序、一つひとつの理由やつながりに目を向けていくと、個々の知識も、鮮やかな色彩をもった映像のようにイメージすることができます。そのようにして得た知識は忘れにくく、記憶にも残りやすいのです。
■ストーリーで理解するために、まずは教科書をしっかりと読み込む
社会も理科と同様に、教科書をしっかり読むことが第一です。資料集も、教科書には掲載しきれなかった興味深い情報がたくさん書かれています。理科と同様に気になることがあればインターネットで調べる、参考書や関連の書籍を読んでみるなど、やれることはたくさんあります。
そうした情報を読み込んで頭にインプットするとともに、「大坂の陣についてストーリーとして人に語れるか」(個人的な好みです。マニアが多く出題は稀です)といったアウトプットも試してみるのです。そうすると、そのときの自分の知識や理解の程度が分かります。
さまざまな出来事に対して国家であれ、人の集合体であることに目を向けます。そして自分が時代のリーダーといわれる人物たちだったらどうするかを考えます。国を安定させるには次に何をすべきか、また自分の野望を達成するには何が邪魔か、などを考えることで、時代や法律の成立した背景を流れで覚えることができ、思考力の醸成にも役立ちます。公民分野でもやはり背景を知れば何をすべきか、それには何が必要かを考えることができ、単なる暗記科目の枠を超えて学習することができるようになります。
理科、社会ともに最も重要なのは「なぜ」を大切にする、ということです。
大坪 智幸
株式会社花咲スクール 代表取締役、本部校教室長
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