(※写真はイメージです/PIXTA)

「読解力(国語力)」を向上させ「英語」に強くなるためには、どうすれば良いのでしょうか? 花咲スクール代表・大坪智幸氏が、具体的な学習ポイントを解説します。ここで紹介するのはプロの塾講師が実際に行っている学習法ですが、家庭で生徒が学習するときのヒントになる部分もあるはずです。学校での授業や宿題には真面目に取り組んでいるのに成果が上がらないようなときは、家庭でもできそうな部分を参考にしてみてください。

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「国語力」は他教科の成績アップにも欠かせない

【国語の学習ポイント:長文を高速で音読。長文は図式化して理解】

 

たくさんの文章を速く音読すると、高校生でも国語の点数が上がる

国語の授業では、教科書などに載っている長文を高速で音読する、ということをしています。入試では、大量の問題文を試験時間内に読み終わらなければいけません。そのためには、読む速さが重要になります。試験では黙読をしますが、通常、人が文章を理解しながら読むときは、音読より少し早いくらいのスピードで黙読をしているといわれます。目だけスピードを上げても、途中からただ文字をなぞっているだけになり、理解が追い付かなくなります。理解を伴った状態で速く読むには、音読が速くできることも必要なのです。

 

具体的にいうと、中学生で2700文字くらいの文章を6分(360秒)で読む、というペースです。長文を読み慣れない子にとっては、最初は大変ですし理解が追い付かない感覚になることが多いです。しかし、ここで諦めずに繰り返していくと、だんだん無理なく理解しながら読めるようになります。学問や技芸の習得は「習うより慣れよ」といいますが、長文を読むことも慣れがとても大切です。たくさんの文章を速く音読すると、高校生でも点数が上がります。

 

■長文読解は「見える化」して理解

また長文の読解では、そこに書かれている要素を表にまとめさせて理解につなげます。文学的文章なら、登場人物とその心情、相手とその心情を書き出して、各々の関係性を整理します。説明的文章であれば、主張と対になる内容、主張を書いていくという具合です。こうして長文に書かれていることを「見える化」すると、そこで求められている解答への道筋が見えるようになります(この方法を追求し、“秘伝のタレ”の部分を含めた動画配信とテキスト作成の準備を進めています)。

 

国立情報学研究所と名古屋大学の研究によると、「読解力」の養成は15歳までが鍵、といわれています。中学生の段階で、こうした読解力を養う訓練をしておくと、大学受験にも通用し、社会で活きる確かな学力が身につきます。

 

■漢字は、文字全体でなく「なじみのない部分」を覚える

国語では、漢字が苦手でなかなか覚えられないという人も少なくありませんが、漢字の暗記は「つがわ式」を採用しています。これは津川博義氏が開発した記憶法で、漢字や英単語をすばやく覚えられて忘れないということで、テレビなどでも取り上げられていました。

 

漢字のなかでなじみのないもの、「薔薇」の「薇」の字であれば、中央の「一」の部分を10秒間見ます。すると、ほかの部分も自然に思い出せるようになり、書けるようになります。小学校で習った部首や形をもとにしながら、なじみのない(=覚えにくい)ところを補強するというメソッドです。これを生徒たちに指導し、効果も上がっています。

「英語」を理解するベースは“日本語力”

【英語の学習ポイント:日本語と対にして構造をつかむことが不可欠】

 

「英文の構造をつかむ練習」こそ受験英語を制するカギ

英語は外国語ですが、理解のベースとなるのは国語(日本語)力です。英文を読むときも、主語、動詞、目的語、補語といった文の構造を日本語と照らし合わせて理解する、という指導をしています。

 

ちなみに受験レベルでは、日本語の順序のように単語の入れ替えをせずに、前から順に英文を読んでいく必要があります。そうしないと読むスピードが落ち、長文の問題文を時間内に読み終えることができないからです。それも小中学校の段階で英文の構造をつかむ練習を繰り返しておくと、前から英文を読むスタイルにもすぐに移行できます。高校も大学も、受験英語読解のポイントは「前からでは無理な文に気づく」です。

 

それから英文の音読にも力を入れています。日本語と同じように、英文を黙読するときも頭のなかでの音読が基本になっています。英単語が音として発音できないと、スムーズに黙読も進みません。最近は学校の授業でもあまり音読の時間がないようですが、教科書を音読でしっかり読めるようにすることが、重要な基礎作りになります。

 

■英単語の暗記は「繰り返し」が重要。苦手なら「覚えにくい原因」を分析

英単語の暗記については、高校受験の生徒たちには宿題として家で覚えてきてもらい、次回の授業で小テストをします。動詞の不規則変化の学習が始まる頃には、個別の演習でも60問連続で正解したら帰れるという決まりを作り、繰り返しを重視しています。大学受験の生徒たちには月に1度、口頭でテストを行い、ランダム抽出の50問を連続正解できれば合格というお互い根気のいることを行っています。

 

なかなか単語を覚えられない生徒は、何がネックになっているのかを一緒に考えます。ある生徒は単語帳一問一答を繰り返し勉強しても、どうしても全問正解できませんでした。そこで不正解を列挙し、共通点や法則性がないか分析しました。すると、その子の目の動かし方などのクセで、見落としやすい、覚えにくい部分があると分かったのです。そこを意識して学習してもらったところ、単語の暗記力がラクに伸びるようになりました。必ず理由がありますので、自分は暗記が苦手と決めつけてしまわず、それぞれに合ったやり方を探っていくことが大切です。

 

 

大坪 智幸

株式会社花咲スクール 代表取締役、本部校教室長

 

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※本連載は、大坪智幸氏の著書『デタラメ受験戦争 失われた「学びの本質」』(幻冬舎MC)より一部を抜粋・再編集したものです。

デタラメ受験戦争 失われた「学びの本質」

デタラメ受験戦争 失われた「学びの本質」

大坪 智幸

幻冬舎メディアコンサルティング

知育と徳育の両面から指導すれば、子ども一人ひとりの生きる力を引き出せる。 「塾屋」が提言する学びの本質とは? 学習塾を経営し自ら教壇に立って指導をする著者は、現在の受験本位の教育は本当の意味で子どものために…

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