(※写真はイメージです/PIXTA)

「数学」に強くなるためには、どうすれば良いのでしょうか? 花咲スクール代表・大坪智幸氏が、具体的な学習ポイントを解説します。ここで紹介するのはプロの塾講師が実際に行っている学習法ですが、家庭で生徒が学習するときのヒントになる部分もあるはずです。学校での授業や宿題には真面目に取り組んでいるのに成果が上がらないようなときは、家庭でもできそうな部分を参考にしてみてください。

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「問題文の問いを正しく読むこと」がスタート地点

数学の学習のポイントは、①設問を正しく理解すること、そして②図形問題への対処です。

 

■整数に関する問題なら、主語を表す助詞「は」に注目

まず①については、数学が苦手な子どもたちは問題文の内容を正確につかめていないことが大半です。ですから、設問で述べられている条件や求めたいものを図式に落とし込んで理解することが大切になります。例えば、方程式で次のような文章題があったとします。

 

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設問:2桁の整数Aがあります。この整数の各位の数の和は12で、十の位と一の位を入れ替えた整数Bは整数Aより36大きいそうです。このとき整数Aを求めなさい。

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このような整数に関する問題は主語を表す助詞「は」に注目をします。日本語での「は」は数学では「=(イコール)」の役割をします。そのため、まずは問題を読みながら「は」が出てきたところに丸を付けます。すると、丸をした左側が方程式の左辺、右側が右辺になることが決まります。

 

この問題では「この整数の各位の数の和“は”12」、「十の位と一の位を入れ替えた整数B“は”整数Aより36大きい」となり、整数Aの十の位をx、一の位をyとすると、「x+y=12」、「10y+x =10x+y+36」となります。整数Aを「10x+y」、整数Bを「10y+x」と表すことについては具体的な値を用いて理解を図ります。例えば、72という値は、「72=70+2」、さらに「72=7×10+2」となり、十の位の数を10倍し一の位の数を足せば成り立つことが分かります。このように整数の表し方を単純に暗記するのではなく、成り立ちを説明することで理解を深めることができます。

 

問題文に書かれていることを正確に理解し、正しく推論と計算をしていけば誰でも解答にたどり着けます。

図形問題に強くなるには?

■図形を具体的にイメージできれば、「公式」を知らなくても解ける

②の図形問題については、公式を覚えて当てはめるだけでは、基本問題は解けても、応用問題となると手が出せなくなることも多々あります。平面や立体の図を具体的にイメージしながら、どうすれば求めたい値にたどり着けるかを考えていくことで数学的な思考力、応用力が伸びていきます。

 

例えば、平行四辺形の面積を求める公式は「底辺×高さ」です。しかし、内角の大きい一つの角から垂直に補助線を1本引いて、できた三角形を反対側に移動させると、長方形になります。これならば平行四辺形の面積を求める公式を知らなくても、縦×横ですぐに面積を割り出せます。

 

図形を頭のなかで描いたり動かしたりできるよう、映像の教材も取り入れながら訓練をしていくと、難解そうに見える図形問題も、自分がもっている知識を組み合わせて対応していけるようになります。

 

■図形の証明問題なら、問題文からわかる「等しい部分」を図に書き込む

図形の証明問題は「何を書けばよいのか分からない」という生徒がよくいます。そこで証明問題に取り組む際、必ず行うのが問題を読んで長さが等しい辺や大きさが等しい角があればそれを図に書き込むということです。

 

問題を読みながら図とにらめっこをして書き込みをし、どこに印をしていったか順番に確認していきます。そうすることによって見える化をし、証明を書き始めることができるようになります。1つでも2つでも書き始めることでほかにも書けることはないかと前向きな姿勢に変わっていきます。

 

第一段階で等しい辺と角が1つずつ分かったとします。そうすると合同条件は2つに絞られます。そこからあと1つは等しい辺と角どちらを書けばよいのかを決めていきます。どちらなら等しいといえるのか、それは第一段階で書いた印が役立ちます。見える化したことで合同条件を満たすためにはあと何が必要か見つけやすくなります。頭のなかだけで考えるのには限界があります。視覚的に理解をしていくことで正しく証明を進めていき結論づけることができるようになるのです。

 

 

大坪 智幸

株式会社花咲スクール 代表取締役、本部校教室長

 

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※本連載は、大坪智幸氏の著書『デタラメ受験戦争 失われた「学びの本質」』(幻冬舎MC)より一部を抜粋・再編集したものです。

デタラメ受験戦争 失われた「学びの本質」

デタラメ受験戦争 失われた「学びの本質」

大坪 智幸

幻冬舎メディアコンサルティング

知育と徳育の両面から指導すれば、子ども一人ひとりの生きる力を引き出せる。 「塾屋」が提言する学びの本質とは? 学習塾を経営し自ら教壇に立って指導をする著者は、現在の受験本位の教育は本当の意味で子どものために…

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