前回は、購入後の費用負担リスクを減らすために事前確認しておくべき項目について説明しました。今回は、融資を受ける金融機関によって、なぜ不動産投資の「手残り」が異なってくるのか、例を挙げて見ていきましょう。

金融機関ごとに融資の金利や期間は異なる

保有するにあたっては、「銀行の融資をどのように使うか」「キャッシュフローをどのように出すか」が非常に重要です。

 

まず、不動産投資をする方のほとんどが金融機関からお金を借りて投資をします。融資を引くにあたり、不動産会社は投資家のニーズに合わせて金融機関を選択します。この金融機関の選択により、毎月のキャッシュフローをコントロールすることができます。

 

三つの金融機関を例に出してみてみましょう。

 

まず、投資額4000万円、年収400万円、利回り10%の東京、東村山市にある木造アパートを購入するとしましょう。金融機関を選定する上で、不動産会社から三つの提案があったとします。

 

・金融機関A 金利1.85% 期間15年の日本政策金融公庫

・金融機関B 金利3.3% 期間25年のS銀行

・金融機関C 金利3.9% 期間30年のMトラスト

 

年間入居率95%(エリア入居率を加味)、運営費15%で運営するとして、税引き前のキャッシュフローの流れをみてみましょう。

ローン返済合計と元本返済額を計算してみると・・・

実際に、家賃年収益×入居率×(1-運営費)-ローン返済合計で計算をしてみましょう。

 

【金融機関A/日本政策金融公庫の年間税引き前キャッシュフロー】

400万円×0.95×(1-0.15)-305万5788円=17万4212円

 

これはほとんど手残りキャッシュフローがなく、投資としては見合いません。

 

【金融機関B/S銀行の年間税引き前キャッシュフロー】

400万円×0.95×(1-0.15)-235万1808円=87万8192円

 

金融機関Aよりも手残りが多い計算になります。

 

【金融機関C/Mトラストの年間税引き前キャッシュフロー】

400万円×0.95×(1-0.15)-226万4004円=96万5996円

 

金融機関A、金融機関Bよりもさらに手残りが多くなります。ただし、融資はあくまで借金です。ローンを返済しなければならないこと、半分以上が金利であること、築20年で購入して30年ローンを組む場合、築50年まで返済し続けなければならないことを考え、どのようなペースで返済が進むのか、元本の返済の流れを見てみましょう。

 

日本政策金融公庫は、元利均等方式で融資期間15年のため、築20年のものが返済完了時には築35年となります。築35年の時点では、建物はまだまだ使えます。

 

元本返済額は以下の通りです。

 

【日本政策金融公庫】

初月19万2983円 初年度年間233万5532円

 

【S銀行】

初月8万5984円 初年度年間104万7563円

 

【Mトラスト】

初月5万8667円 初年度年間71万6729円

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    本連載は、2016年5月31日刊行の書籍『不動産投資は「土地値物件」ではじめなさい』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

    不動産投資は「土地値物件」で はじめなさい

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    菅谷 太一

    幻冬舎メディアコンサルティング

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