内装や初期費用次第で「選ばれる物件」に変わる
客付けのために知っておくべきポイントを、以下に解説します。
①「選ばれる」リフォームを施す
30歳前後のディンクス(ともに働いており、子どもをもたない夫婦のこと)を狙った部屋づくりをしましょう。
当社の場合、グレードアップ工事はお薦めしていません。仮にグレードアップ工事で家賃が上昇したとしても、家賃は年を経るごとに下降していきます。そのため、当社はそれよりも賃貸仲介会社が喜ぶような綺麗な部屋づくりを重視しています。内装は主に社員、お客様を含めすべて女性が選ぶようにしており、中古であってもかわいらしいイメージを保てるような内装を心がけています。
②初期費用に注意する
特に1Kの場合ですが、家賃帯が低価格帯である場合、初期費用を捻出できない入居希望者がいます。そのため、家賃は多少高くても初期費用を5万円以下、10万円以下に抑えてほしいといわれることがあります。
初期費用は前家賃、日割り家賃、家財保険費用、家賃保証会社加入費用、敷金、礼金、鍵の交換費などのことですが、加入する保証会社の保証内容によっては、敷金を請求する必要がなくなったり、前家賃をフリーレント適用にしたり、礼金やコストを抑えて入居を促進することも重要です。
その他、初期費用を減らすための方法としては、カード決済を可能にすること、初期費用の分割をすることです。いずれにしても保証会社に加入することを条件に、入居者の門戸を拡大することも、入居率アップには重要な役割を果たします。
需要が見込める外国人や高齢者の入居に積極的に対応
③外国人に対応する
日本の少子化の影響で、大学は学生数の減少を防ぐべくどんどん都心回帰しています。他方、大学としても学生を確保するため、日本語学校からの紹介留学生を受け入れています。早稲田大学、東京大学などといった有名大学はもちろんのこと、そうではない大学であっても日本語学校に対して紹介コストをかけ、営業をかけて海外留学生を確保しています。
留学生は親類・縁者がなく、文化が異なり、日本語しか通じず、風習も知らない日本で生活することになります。それらの不安から、国際交流課などによるサポートが充実している大学、留学生が多くフォロー体制が構築されている大学に入学する傾向にあります。
当社でも埼玉県の川越エリアで自社物件を購入したのですが、その物件には留学生も受け入れをすることとし、大学に入居促進の営業をしました。
そして大学側の希望を受け入れ、留学生がすぐに日本での生活を開始できるよう、家具家電付きの部屋にしました。そうしたところ、4人の留学生の紹介をいただくことができました。そのため、外国籍の方でも入居できるよう、当社では外国籍専用の保証会社と提携しています。
今後は外国籍の入居者も受け入れて、グローバル化に対応していくことが賃貸経営においても重要といえます。
ちなみに文部科学省のサイトを見てみると、2015年度では留学生は20万8379人と、2014年度と比較して13%増えています。留学生の国別でみると、中国、ベトナム、ネパール、韓国、台湾とアジア系の学生が大多数を占めています。
④高齢化対策
日本は高齢化により孤独死がどんどん増えています。入居者が亡くなっていた、という事態も今後さらに増加していくと思われます。
当社でも、3人ほど80代の入居者がいます。幸い行政が全入居者に2日に1回デイサービスを実施し、入浴、健康管理のサポートをしてくれているため孤独死という事態は免れるでしょうが、孤独死対策は今後より一層必要になってくるでしょう。
また、高齢者が死亡した際に生じる家賃損失や原状回復費用、遺品整理、空室期間の家賃保証を補填する保険も数多く出てきています。高齢者は、築年数をあまり気にされない方も多いです。孤独死対策のコストを考慮しながらも、高齢者を受け入れることもまた、今後の入居率を高く保つために必要になってくるのではないでしょうか。