前回は、融資を受ける銀行(金融機関)によって、なぜ不動産投資の「手残り」が異なってくるのか、例を挙げて説明しました。今回は、具体的な「手残り」が融資を受ける銀行によってどの程度異なるのか、試算例を挙げて見ていきましょう。

元本の返済スピードも考えながら融資元を選択

前回の続きです。では、築20年から7年後、不動産を購入額の90%で売却した際、どの金融機関を用いていれば売却益が出るかを計算してみます。

 

※家賃の下落率を入れると複雑になるのでここでは省きます。

 

7年後(84カ月後)のローンに関しては以下の状況になり、大きな差が出ます。

 

【日本政策金融公庫】

元本返済合計 1729万2832円

 

【S銀行】

元本返済合計 811万2571円

 

【Mトラスト】

元本返済合計 559万7195円

 

4000万円の90%で売却しますので、売却益+期間中キャッシュフローを計算すると、以下のようになります。

 

【日本政策金融公庫】

1729万2832円+(期間中17万4212円×7年)=1851万2316円

 

【S銀行】

811万2571円+(期間中87万8192円×7年)=1425万9915円

 

【Mトラスト】

559万7195円+(期間中96万5996円×7年)=1235万9167円

 

期間の利益を確保することで、毎月の手残り自体はMトラストが多いのですが、売却をするとなると金利の安い日本政策金融公庫で借りていた方が売却益は大きくなります。

 

これは4000万円の投資での計算ですが、物件投資額が大きければ大きいほど売却益の差も開きます。そのため自己資金が出せる人は、一部資金を入れて低金利で融資を引くことで、売却益が上がります。また一部繰上返済をすることで、さらにキャッシュフローは良くなります。

 

目先の手残りだけではなく、元本の返済スピードも考えながら融資を選択することをお薦めします。

投資規模を拡大したい場合は億単位の融資が必要

借入金を主体にして事業規模を拡大し、スケールメリットを出していきたい人は毎月のキャッシュフローを最大化する必要があります。事業規模を大きくできるのは、一定レベル以上の年収で安定的な収入を得ている高所得サラリーマンや、公務員の方がその信用を最大限に活用し、さまざまな銀行を使って億単位の物件を買い進めていく手法です。

 

いかに銀行融資を引き出すかがポイントになりますが、銀行の担保評価が高い物件が優先になります。一般的に、担保評価が高ければ高いほど利回りは低下していきます。そのため投資規模を拡大していく必要があり、金利以上に期間を長くとることで、手元キャッシュフローを最大化することが可能となるのです。

本連載は、2016年5月31日刊行の書籍『不動産投資は「土地値物件」ではじめなさい』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

不動産投資は「土地値物件」で はじめなさい

不動産投資は「土地値物件」で はじめなさい

菅谷 太一

幻冬舎メディアコンサルティング

「区分マンションは初期投資が少ない=ローリスク」 「都心の新築物件は空室率が低い=ローリスク」 そう思い込んでいませんか? 不動産投資成功の必須条件はきちんとした投資目線を持つことです。 本書では“儲かる”物件…

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