(写真はイメージです/PIXTA)

原油高の影響で、22年2月の貿易収支は6,683億円の赤字となりました。ニッセイ基礎研究所の斎藤太郎氏によると、当面赤字が続く可能性が高いといいます。本記事で詳しく解説します。

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    原油高の影響で貿易赤字(季節調整値)が拡大

    財務省が3月16日に公表した貿易統計によると、22年2月の貿易収支は▲6,683億円の赤字となり、事前の市場予想(QUICK集計:▲1,125億円、当社予想は▲1,241億円)を下回る結果となった。

     

    輸出が前年比19.1%(1月:同9.6%)と前月から伸びを大きく高めたが、原油高の影響などから輸入が前年比34.0%(1月:同39.6%)と輸出を上回る伸びが続いたため、貿易収支は前年に比べ▲8,442億円の悪化となった。

     

    [図表1]貿易収支の推移
    [図表1]貿易収支の推移

     

    輸出の内訳を数量、価格に分けてみると、輸出数量が前年比2.7%(1月:同▲4.0%)、輸出価格が前年比16.0%(1月:同14.1%)、輸入の内訳は、輸入数量が前年比▲0.9%(1月:同4.8%)、輸入価格が前年比35.2%(1月:同32.3%)であった。

     

    [図表2]輸出金額の要因分解
    [図表2]輸出金額の要因分解

     

    [図表3]輸入金額の要因分解
    [図表3]輸入金額の要因分解

     

    季節調整済の貿易収支は▲10,314億円と11ヵ月連続の赤字となり、1月の▲7,769億円から赤字幅が拡大した。輸出が前月比▲0.5%の減少となる一方、原油高の影響で輸入が同2.7%の増加となったことが貿易収支の悪化につながった。

     

    [図表4]貿易収支(季節調整値)の推移
    [図表4]貿易収支(季節調整値)の推移

     

    2月の通関(入着)ベースの原油価格は1バレル=86.8ドル(当研究所による試算値)となり、1月の79.8ドルから上昇した。原油価格(ドバイ)は、ロシアのウクライナ侵攻を受けて、一時130ドル台まで上昇した後、90ドル台まで下落している。

     

    通関ベースの原油価格は3月に90ドル台後半まで上昇した後、4月には100ドルを超えることが見込まれる。輸入価格の上昇を主因として、貿易収支(季節調整値)は当面赤字が続く可能性が高い。

     

    [図表5]原油価格(ドバイと入着ベース)の推移
    [図表5]原油価格(ドバイと入着ベース)の推移

     

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    ※本記事記載のデータは各種の情報源からニッセイ基礎研究所が入手・加工したものであり、その正確性と安全性を保証するものではありません。また、本記事は情報提供が目的であり、記載の意見や予測は、いかなる契約の締結や解約を勧誘するものではありません。
    ※本記事は、ニッセイ基礎研究所が2022年3月16日に公開したレポートを転載したものです。

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