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内訳の詳細…家計のリスク性資産への投資が進む
10~12月期の個人金融資産への資金流出入について詳細を確認すると[図表6]、例年同様、季節要因(賞与の有無等)によって現預金が純流入(積み増し)となった。
その規模は昨年をやや下回ったものの、19兆円に達したため、12月末の現預金残高は1092兆円(前年比35兆円増)と過去最高を更新している。内訳では、流動性預金(普通預金など)への純流入(19兆円)が進んだ一方、定期性預金は純流出(4兆円)となった[図表7]。
定期性預金からの純流出は24四半期連続で、この間の累計流出額は69兆円に達している。この結果、定期性預金が個人金融資産に占める割合は19.4%まで低下している。一方で、この間の流動性預金への資金流入は207兆円に達しており、流動性預金が個人金融資産に占める割合は28.9%にまで上昇している[図表8]。
預金金利がほぼゼロであるにもかかわらず、引き出し制限があって流動性の低い定期性預金からの資金流出には歯止めがかかっていない。定期性預金の残高は未だ392兆円もあるため、今後も大幅な資金流出が避けられない。
次に、リスク性資産への投資フローについては、代表格である株式等が0.6兆円の純流入(前年同期は2.6兆円の純流入)となったほか、投資信託も2.1兆円の純流入(前年同期は0.6兆円の純流入)となった[図表9]。
株式は例年、節税のためとみられるが、10~12月には純流出(売り越し)となる傾向があり、純流入は稀だ。また、投資信託の純流入は7四半期連続で、2兆円を超える純流入は2015年4~6月以来のこととなる。外貨預金や対外証券投資が純流出になるなどバラツキはあるものの、総じてみれば、家計のリスク性資産への投資が一定進んだと評価できる。
在宅勤務や世界経済の回復期待が追い風となって、一部の家計が敷居の低い投資信託を中心として投資に前向きになっている可能性がある。
なお、その他資産では、未収金が4兆円も発生し、フローの増加に大きく寄与している点が目立つ。一時的な収入と推測されるが、様々なものを含むだけに詳細は不明。

![[図表6]家計資産のフロー(各年10~12月期)](https://ggo.ismcdn.jp/mwimgs/4/e/540/img_4ecaefab40cb2c69f795dbf4a581f219108485.jpg)
![[図表7]現・預金のフロー(各年10~12月期)](https://ggo.ismcdn.jp/mwimgs/3/e/540/img_3e8beab45c72228064fc66042205d66999840.jpg)
![[図表8]流動性・定期性預金の個人金融資産に占める割合](https://ggo.ismcdn.jp/mwimgs/c/c/540/img_cc0aaa9724a30bee6eee93cc2f65f564129907.jpg)
![[図表9]外貨預金・投信(確定拠出年金内)・国債等のフロー](https://ggo.ismcdn.jp/mwimgs/9/8/540/img_9873c44e43dd6c24f89c5084b85cb7e0140899.jpg)