米住宅着工・許可件数(22年2月)-建設コスト増加や労働力不足などの逆風にもかかわらず着工件数は06年6月以来の水準に増加

米住宅着工・許可件数(22年2月)-建設コスト増加や労働力不足などの逆風にもかかわらず着工件数は06年6月以来の水準に増加
(写真はイメージです/PIXTA)

アメリカ建設業界は逆風を受けているにもかかわらず、着工件数、許可件数ともに市場予想を上回りました。ニッセイ基礎研究所の窪谷浩氏が、今回の結果について解説します。

あなたにオススメのセミナー

    【関連記事】ロシアのウクライナ侵攻で大幅調整の日本株…「“開戦は買い”のジンクス」不発で改めて考える今後の相場展開

    結果の概要:着工件数は前月比増加、許可件数は前月比減少も、両方市場予想は上回る

    3月17日、米国センサス局は2月の住宅着工、許可件数を発表した。住宅着工件数(季節調整済、年率)は176.9万件(前月改定値:165.7万件)と163.8万件から上修正された前月、市場予想の170.0万件(Bloomberg集計の中央値)を上回り、06年6月(180.2万件)以来の水準となった(図表1、図表3)。

     

    許可件数(季節調整済、年率)は185.9万件(前月改定値:189.5万件)と189.9万件から小幅下方修正された前月を下回ったものの、市場予想の185.0万件は上回った(図表2、図表5)。

     

    [図表1]住宅着工件数/[図表2]住宅着工許可件数
    [図表1]住宅着工件数/[図表2]住宅着工許可件数

    結果の評価:建設業界を取り巻く逆風にもかかわらず、着工件数は大幅に増加

    住宅着工件数の伸びは前月比+6.8%(前月:▲5.5%)と前月からプラスに転じた(図表3)。内訳をみると、戸建てが+5.7%(前月:▲4.4%)、集合住宅も+9.3%(前月:▲8.0%)といずれもプラスに転じた(図表4)。

     

    前年同月比では+22.3%(前月:+2.0%)と12ヵ月連続のプラスとなったほか、前月から伸びが大幅に加速した。戸建てが+13.7%(前月:+0.6%)、集合住宅が+46.6%(前月:+5.2%)といずれも2桁の伸びとなった。

     

    地域別寄与度(前月比)は、西部が▲3.1%ポイント(前月:+3.2%ポイント)と前月からマイナスに転じた。一方、南部が+6.3%ポイント(前月:+0.7%ポイント)と2ヵ月連続でプラスを維持したほか、北東部が+1.8%ポイント(前月:▲2.2%ポイント)、中西部が+1.8%ポイント(前月:▲7.3%ポイント)とプラスに転じた。

     

    [図表3]住宅着工件数(伸び率)/[図表4]住宅着工件数前月比(寄与度)
    [図表3]住宅着工件数(伸び率)/[図表4]住宅着工件数前月比(寄与度)

     

    先行指標である住宅着工許可件数は、前月比▲1.9%(前月:+0.5%)と5ヵ月ぶりにマイナスに転じた(図表5)。集合住宅が▲4.4%(前月:▲9.9%)と2ヵ月連続でマイナスとなったほか、戸建てが▲0.5%(前月:+7.5%)と5ヵ月ぶりにマイナスに転じた(図表6)。

     

    前年同月比は+7.7%(前月:+0.6%)と5ヵ月連続のプラスとなった。集合住宅が+12.2%(前月:+10.9%)と2桁の伸びを維持したほか、戸建てが+5.4%(前月:▲4.3%)と7ヵ月ぶりにプラスに転じた。

     

    [図表5]住宅着工許可件数(伸び率)/[図表6]住宅着工許可件数前月比(寄与度)
    [図表5]住宅着工許可件数(伸び率)/[図表6]住宅着工許可件数前月比(寄与度)

     

    [図表7]住宅市場指数(項目別)
    [図表7]住宅市場指数(項目別)

     

    一方、全米建設業協会(NAHB)による戸建て新築住宅販売のセンチメントを示す住宅市場指数は、3月が前月比▲2ポイントの79(前月:81)となった(図表7)。これでセンチメントの悪化は3ヵ月連続である。

     

    内訳は客足が67(前月:65)と前月から改善した一方、販売現況が86(前月:89)、販売見込みが70(前月:80)と前月から悪化した。とくに販売見込みは1986年の統計開始以来3番目の落ち込み幅となった。

     

    NAHBは、「建設コストの増加と金融引き締めに関連した金利上昇によって、住宅購入希望者が市場から締め出されるという懸念が建設業者から高まっている」としており、建設業界を取り巻く環境が厳しくなっていることに言及している。

     

     

    窪谷 浩

    ニッセイ基礎研究所

     

    【関連記事】

    ■税務調査官「出身はどちらですか?」の真意…税務調査で“やり手の調査官”が聞いてくる「3つの質問」【税理士が解説】

     

    ■月22万円もらえるはずが…65歳・元会社員夫婦「年金ルール」知らず、想定外の年金減額「何かの間違いでは?」

     

    ■「もはや無法地帯」2億円・港区の超高級タワマンで起きている異変…世帯年収2000万円の男性が〈豊洲タワマンからの転居〉を大後悔するワケ

     

    ■「NISAで1,300万円消えた…。」銀行員のアドバイスで、退職金運用を始めた“年金25万円の60代夫婦”…年金に上乗せでゆとりの老後のはずが、一転、破産危機【FPが解説】

     

    ■「銀行員の助言どおり、祖母から年100万円ずつ生前贈与を受けました」→税務調査官「これは贈与になりません」…否認されないための4つのポイント【税理士が解説】

     

    ※本記事記載のデータは各種の情報源からニッセイ基礎研究所が入手・加工したものであり、その正確性と安全性を保証するものではありません。また、本記事は情報提供が目的であり、記載の意見や予測は、いかなる契約の締結や解約を勧誘するものではありません。
    ※本記事は、ニッセイ基礎研究所が2022年3月18日に公開したレポートを転載したものです。

    人気記事ランキング

    • デイリー
    • 週間
    • 月間

    メルマガ会員登録者の
    ご案内

    メルマガ会員限定記事をお読みいただける他、新着記事の一覧をメールで配信。カメハメハ倶楽部主催の各種セミナー案内等、知的武装をし、行動するための情報を厳選してお届けします。

    メルマガ登録
    会員向けセミナーの一覧