ある中小企業のストローメーカーは、長年にわたって大手企業1社との取引に依存し、営業部門すら持ちませんでした。しかし、時代の流れとともに状況が変わり、取引数が激減。顧客の新規開拓を余儀なくされます。見よう見まねで営業を展開しますが…。

社内にない知見は「社外から調達」

地道な飛び込み営業活動などのおかげで、グリコ以外の仕事も少しずつ増え始めましたが、収益面では相変わらず厳しい状態が続きました。新しい仕事が増えているとはいっても、その売上はグリコ向けストローの売上減少分を補うほどではありませんでした。

 

その状況を打開するため、責任者は経営コンサルタントを活用することにしました。ホームページ活用と同じように外部のコンサルタントの活用も、リソースが少ない中小企業にとっては有効な手段といえます。

 

会社をうまく経営していくためには人材活用や財務のマネジメント、中小企業が受けられる支援制度の活用など、経営の知見が重要です。中小企業ではこれらが不十分なことが多く、逆にコンサルタント側が得意とする分野なので、両者のマッチングがうまくいくことで中小企業の経営は安定しやすくなり伸びやすくなるのです。

 

また、中小企業の持つ課題を解決するのにもコンサルタントは有効です。大企業の経営が安定しているのは、自社が持つリソースをきちんと把握し有効活用するための戦略を練っているからです。

 

戦略を練るのは社長の役目ですが、中小企業の場合は社長が「4番でエース」のことがほとんどです。社長は営業先や現場を飛び回っているため、戦略を練ったり、そのために必要な情報や知識を収集したりする時間が足りず、結果として戦略策定のレベルが低くなってしまうのです。

 

この弱点を補う手段がコンサルタント活用なのです。この責任者はエンジニア畑の出身で経営に関する知識が不足しており、経理や財務についても未経験でした。知識や経験の不足をカバーするために外部のコンサルタントを活用するのは良い手だといえました。

 

そうしたメリットを踏まえ、2006年、責任者は地元商工会の経営勉強会に参加し、講師として招かれていた経営コンサルタントに、会社再建への協力を依頼しました。

 

このときの経営コンサルタントへの依頼は3年でいったん区切りをつけましたが、その後も5Sの改善活動のためのコンサルタントや機械設計のアドバイザー、税理士、社労士、弁護士、販売促進のためのコンサルタントなど自社にない知見を調達するために外部の力を積極的に取り入れていくことになります。

 

 

井上 善海

法政大学 教授

 

 

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