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自筆証書遺言は、一定の要件に従って自筆で書く遺言書で、一人でいつでも作成できます。しかし、本当に被相続人が遺言書を書いたかどうかを立証する手段がなく、遺言書が他の人によって偽造されるケースもあります。遺言書の偽造が疑われる場合にはどのような対応をすればよいのでしょうか。みていきましょう。

遺言書を偽造した場合に問われる罪

遺言書を偽造・変造すると、民法と刑法の両方からペナルティーが科されます。

 

民法では、遺言書を偽造した人は相続欠格となり、相続人ではなくなります。つまり、遺産を一切受け取ることができなくなってしまいます。ただし代襲相続はできるので、偽造した人に子どもがいればその子どもは遺産を受け取ることができます。

 

偽造だけでなく、被相続人をだましたり脅したりして遺言書を書かせた場合、または書かせようとした場合も相続欠格となります。

 

刑法では、遺言書の偽造や変造は私文書偽造罪・変造罪にあたり、3か月以上5年以下の懲役が科されます。

遺言書を偽造されないためには公正証書遺言の作成を

遺言書の偽造を防ぐためには公正証書遺言を作成することをおすすめします。

 

公正証書遺言は、公証役場で公証人と証人2名の立ち合いのもとで作成され、原本は公証役場で保管されます。そのため、遺言書が偽造される可能性はほとんどありません(ただし、過去には他人が遺言者になりすまして公正証書遺言を作成した事例があり、偽造のリスクがまったくないとはいえません)。

 

費用は公証人の手数料のほか、証人の日当、税理士や弁護士などの専門家に遺言作成のサポートを依頼した場合の報酬などが必要です。

遺言書偽造が疑われる場合はすぐ相談

ここまで、遺言書の偽造が疑われる場合の対応方法と偽造を防ぐ方法についてお伝えしました。

 

自筆証書遺言は、書いた本人が亡くなっているため、本当に遺言者が自ら書いたものであるかの立証は難しくなります。遺言無効確認の裁判では、筆跡鑑定や当時の遺言者の健康状態などから偽造されたのかどうかが判断されます。

 

遺言書が偽造されたことが確認されれば、遺言書は無効となります。遺言書を偽造した人は相続権を失い、刑事罰に問われる可能性もあります。

 

遺言書が偽造と疑われるような場合には、すぐに相続問題に強い弁護士に相談することをおすすめします。

 

 

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本連載は、税理士法人チェスターが運営する「税理士が教える相続税の知識」内の記事を転載・再編集したものです。

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