恐ろしい…近年増えている「お酒を飲まない人」の「脂肪肝」【医師が解説】 (※写真はイメージです/PIXTA)

「脂肪肝」というと、少し前まではお酒が好きな人の病気と思われていました。しかし、お酒を飲まないからといって油断してはいけません。脂肪肝は酒飲みでなくとも発症リスクがあり、長年放置すれば深刻な肝臓病にまで進行することがわかってきたのです。知られざる「脂肪肝」の恐ろしさについて、みなと芝クリニック院長・川本徹医師が解説します。

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日本人男性の「3人に1人」が脂肪肝!?

脂肪肝という言葉を一度は耳にしたことがあるかと思います。脂肪肝とは、肝細胞内に中性脂肪が異常に蓄積した状態のことをいいます。有名なものに、餌をたくさん食べて肥大したガチョウやアヒルの脂肪肝フォアグラがあります。人間の肝臓もさまざまな原因で脂肪肝になります。

 

でも私は太っていないし、お酒もたしなむ程度だから心配ないという人もいるかもしれません。確かに脂肪肝は肥満者やアルコールの飲み過ぎの人がなりやすい病気です。しかも放っておくとさまざまな疾患や老化につながっていくことも明らかにされてきています。

 

もともと脂肪肝は、肥満患者の多いアメリカではじめに注目されました。それが近年では日本でも患者数が多くいることが分かってきたのです。

 

衝撃的なのは、日本人の成人男性の3人に1人が脂肪肝と推定されていることです。これは血液中の脂質の値が高い状態である脂質異常症と同じくらいの割合になります。

放置すれば「肝硬変」、最終的には「肝がん」まで進行

脂肪肝は単に肝臓に脂肪が蓄積しているというだけではなく、いわば肝臓のメタボリック症候群と言えます。メタボが糖尿病や高血圧、動脈硬化、脂質異常症などさまざまな病気に関連することは広く知られています。それらと同じく、肝臓に脂肪がたくさん溜まってくるといろいろな悪い影響が出てきます。肝臓では慢性的に炎症が起こるようになり、次第に線維化といって肝臓の組織が硬くなっていきます。そして脂肪肝の原因となっている肥満や生活習慣が改善されず、症状が進行した場合、最終的には肝硬変や肝がんといった深刻な肝臓病に至ることもあります。

 

このような状況のなか、日本肝臓学会は2008年頃から本格的に脂肪肝の対策に取り組み始めています。例えば肝疾患に対する啓蒙活動、肥満の警告、運動習慣の実施の呼びかけなどです。

 

けれども脂肪肝になっていても多くの人には自覚症状がなく、詳しい検査を受けない限り脂肪肝と診断されないので見過ごされてしまっているのが現状です。これが脂肪肝が侮れない理由の一つです。

 

長年放置して肝硬変の段階まで行ってしまうと、肝臓の機能が大幅に低下して元に戻らなくなります。さらに悪化すると肝がんとなり、命を落とすリスクさえあります。

みなと芝クリニック 院長 東京女子医科大学非常勤講師
東邦大学医学部客員講師
元日本胆道学会評議員

1987年筑波大学医学専門学群卒業。1993年筑波大学大学院医学研究科修了。大学院修了後は筑波大学附属病院の消化器外科に所属し、研鑽を積む。

1996年筑波大学臨床医医学系外科講師に就任。胆道外科を専門とし、特に胆のうがん、胆管がんの外科治療に専従する。2003年に渡米し、アメリカのテキサス大学MDアンダーソンがんセンターにてがん分子標的薬の研究に従事し、がんの発生および進展メカニズムについて深い知見を有する。

現在は東京都港区にみなと芝クリニックを構え、内科・胃腸内科と外科のほかに、皮膚科、整形外科、大腸・肛門外科を標榜し、幅広い診療を行っている。

著者紹介

連載その放置が死を招く!?「脂肪肝」の怖さと正しい対処法

※本連載は、川本徹氏の著書『死肪肝』(幻冬舎MC)より一部を抜粋・再編集したものです。

死肪肝

死肪肝

川本 徹

幻冬舎メディアコンサルティング

沈黙の臓器、肝臓。 「気付いたときにはすでに手遅れ」を防ぐために――。 臨床と消化器がんを研究し、米国テキサス大学MDアンダーソンがんセンターでがん治療の最先端研究に携わった著者が、脂肪肝の基礎知識とともに肝…

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