年々「ウイルス性以外の肝炎」が増加
肝炎は、肝細胞が壊れることによって起こります。肝炎が6ヵ月以上続くと慢性肝炎、6ヵ月以内なら急性肝炎といいます。
肝炎の原因はさまざまで、ウイルス感染、アルコールの過剰摂取、肥満(脂肪肝)、薬物によるものなどがあります。
かつて肝がんの発生の多くは、B型肝炎ウイルス(HBV)およびC型肝炎ウイルス(HCV)の患者が占めていました。国内の感染者(発症しなかった人も含む)は、B型肝炎が約110〜140万人、C型肝炎が約190~230万人(平成16年度調査より推定)でした。そのうち発症した患者数はB型肝炎が約7万人、C型肝炎が約37万人(平成20年患者調査より推計)という規模でした。
現在ではワクチンや抗ウイルス薬の進歩により、慢性ウイルス性肝炎は早期の段階で発見して適切な治療を受ければ治すことも可能な病気になりました。特にC型肝炎では副作用の少ない経口薬が開発され、ほとんどのウイルスを排除できるようになりました。
それに代わり増えてきたのが、ウイルス性以外の肝炎です。国内における肝がん全体に占める非ウイルス性肝炎を背景とした肝がんの割合は、1991年には10%でありました。それが2015年には32.5%にまで増加しています。
肝臓に炎症が起きている状態が10年、20年と続けば、肝臓の“線維化”という状態になります。これが肝硬変という病気です。そしてその先には肝不全や肝がんという恐ろしい病気が待っています。