(※写真はイメージです/PIXTA)

「脂肪肝」というと、少し前まではお酒が好きな人の病気と思われていました。しかし、お酒を飲まないからといって油断してはいけません。脂肪肝は酒飲みでなくとも発症リスクがあり、長年放置すれば深刻な肝臓病にまで進行することがわかってきたのです。知られざる「脂肪肝」の恐ろしさについて、みなと芝クリニック院長・川本徹医師が解説します。

年々「ウイルス性以外の肝炎」が増加

肝炎は、肝細胞が壊れることによって起こります。肝炎が6ヵ月以上続くと慢性肝炎、6ヵ月以内なら急性肝炎といいます。

 

肝炎の原因はさまざまで、ウイルス感染、アルコールの過剰摂取、肥満(脂肪肝)、薬物によるものなどがあります。

 

かつて肝がんの発生の多くは、B型肝炎ウイルス(HBV)およびC型肝炎ウイルス(HCV)の患者が占めていました。国内の感染者(発症しなかった人も含む)は、B型肝炎が約110〜140万人、C型肝炎が約190~230万人(平成16年度調査より推定)でした。そのうち発症した患者数はB型肝炎が約7万人、C型肝炎が約37万人(平成20年患者調査より推計)という規模でした。

 

現在ではワクチンや抗ウイルス薬の進歩により、慢性ウイルス性肝炎は早期の段階で発見して適切な治療を受ければ治すことも可能な病気になりました。特にC型肝炎では副作用の少ない経口薬が開発され、ほとんどのウイルスを排除できるようになりました。

 

それに代わり増えてきたのが、ウイルス性以外の肝炎です。国内における肝がん全体に占める非ウイルス性肝炎を背景とした肝がんの割合は、1991年には10%でありました。それが2015年には32.5%にまで増加しています。

 

出典:Tateishi R et al. J Gastroenterol(2019)54 367-376
【図表】日本における肝疾患の推移 出典:Tateishi R et al. J Gastroenterol(2019)54 367-376

 

肝臓に炎症が起きている状態が10年、20年と続けば、肝臓の“線維化”という状態になります。これが肝硬変という病気です。そしてその先には肝不全や肝がんという恐ろしい病気が待っています。

次ページ「お酒を飲まない人」でも油断大敵

※本連載は、川本徹氏の著書『死肪肝』(幻冬舎MC)より一部を抜粋・再編集したものです。

死肪肝

死肪肝

川本 徹

幻冬舎メディアコンサルティング

沈黙の臓器、肝臓。 「気付いたときにはすでに手遅れ」を防ぐために――。 臨床と消化器がんを研究し、米国テキサス大学MDアンダーソンがんセンターでがん治療の最先端研究に携わった著者が、脂肪肝の基礎知識とともに肝…

人気記事ランキング

  • デイリー
  • 週間
  • 月間

メルマガ会員登録者の
ご案内

メルマガ会員限定記事をお読みいただける他、新着記事の一覧をメールで配信。カメハメハ倶楽部主催の各種セミナー案内等、知的武装をし、行動するための情報を厳選してお届けします。

メルマガ登録