肝臓病による死亡率が一般人の6倍…「お酒を飲まない人」の脂肪肝【医師が解説】 (※写真はイメージです/PIXTA)

脂肪肝というと、少し前まではお酒が好きな人の病気と思われていました。しかし、お酒を飲まないからといって油断はできません。珍しい病気ではないからこそ知っておきたい「脂肪肝」の恐ろしさについて、みなと芝クリニック院長・川本徹医師が解説します。

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「お酒による脂肪肝、お酒によらない脂肪肝」の違い

脂肪肝は飲酒が発症に関係している「アルコール性脂肪性肝炎」と、過剰飲酒を伴わない「非アルコール性脂肪性肝疾患(英語表記nonalcoholic fatty liver diseaseからNAFLD/ナッフルディー)」に大きく分けられます。

 

NAFLDはさらに単純な脂肪肝である「非アルコール性脂肪肝(NAFL/ナッフル)」と、肝臓の線維化が進んでしまうリスクの高い「非アルコール性脂肪性肝炎(NASH/ナッシュ)」に分けられます。国内の脂肪肝の患者数は、人間ドックのデータから約3000万人と推計されています。そのうちNAFLDの患者数は推計1000〜2000万人とも言われており、お酒を飲まない人の脂肪肝もかなりの人数になっています。

 

アルコール性なのか非アルコール性なのかは飲酒量で判断されます。1日あたり純エタノールとして男性では30g以上、女性では20g以上のお酒を毎日飲み続けるとアルコール性肝障害を起こすことがあるといわれています。純エタノール30gとは、1日あたりビールなら750mL(大瓶1本強)、日本酒なら1合半、ワインはグラス2杯半、ウイスキーではダブルで1杯半に相当します。これよりも飲酒量が少なければ、NAFLDということになります(※1)

 

※1 日本消化器病学会ガイドライン「NAFLD/NASHガイドQ&A」

なぜ脂肪肝は「怖い病気」なのか?

脂肪肝はとても怖い病気といっても、なかなかピンとこないという人も多いかと思います。脂肪肝は、メタボリック症候群ほどには世間に認知されていない病気です。そして医学界ですら注視するようになったのはここ20年ぐらいのことです。脂肪肝を放置すると危険な理由はいくつかあります。

 

■非アルコール性のうち10~20%の患者は「肝臓の病気」になるリスク

お酒が原因でない非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)の中には、肝臓の線維化が進みやすい「非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)」が含まれます。

 

NAFLDのうち80~90%は脂肪肝のままで、肝臓の病気はほとんど進行しません。しかし残りの10〜20%はよりリスクの高いNASHになり、肝硬変や肝がんへ進んでいくことがあります。しかもNASHは、ウイルス性肝炎と比較しても肝臓の線維化のスピードが速いことが特徴です。

 

今のところNASHになる人とならない人の違いについてはっきりとした原因はわかっていませんが、メタボ人口の増加に伴い、国内のNASH人口は増加傾向にあると考えられています。

 

■自覚症状がほとんどなく、発見したころには肝硬変になっているケースも…

あなたの肝臓は健康ですか? 脂肪肝になっていませんか? そう聞かれても、自分ではよく分からないという人が多いのではないでしょうか。しかしそれは当然のことで、脂肪肝になっても自覚症状はほとんどありません。進行性のNASHでもかなり病状が悪化しない限り症状がないことがほとんどです。

 

今のところ定期健診等の血液検査だけでは脂肪肝かどうかの診断がつかないため、脂肪肝は早期発見が難しくなっています。肝機能の数値が悪いと言われたことで腹部CT検査や超音波検査を受けて初めて、肝臓の異変が判明する人がほとんどです。さらにNASHかどうかは肝生検という、肝臓の組織を採取して調べる検査をしないと診断できません。

 

肝臓には痛みの神経がありません。ましてやお酒をほとんど飲まなければ、肝臓の病気になっていると想像もしないという人が多いのです。

 

現に何の自覚症状もない人が健診で肝機能の異常を指摘され、詳しく検査をしてみたらすでに改善が難しい肝硬変へと進んでいたという患者が時折います。

 

■さまざまな病気を誘発、進行…脂肪肝は「生活習慣病の入り口」

脂肪肝は、メタボリック症候群と合併しやすくさまざまな病気を誘発、進行させることがわかっています。例えば以下のような病気が該当します。

 

●脳卒中

●心筋梗塞

●高血圧・糖尿病・脂質異常症・痛風・動脈硬化

●睡眠時無呼吸症候群

●胆石症

●性ホルモン異常

●(肥満による)変形性膝関節症

 

肝臓に脂肪が溜まるということは、必要以上に中性脂肪が作られ血液中にも中性脂肪が多いということになります。その状態が続くことで動脈硬化になるリスクが高まります。そして非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)の人は、一般の人に比べて肝臓病で死亡する確率が6倍となります。心筋梗塞や脳梗塞などの心・血管疾患(動脈硬化によって血管の内部が狭窄することで起こる疾患)のリスクや死亡率も増加することが分かっています。

 

また別の研究では、肥満患者の61%、高血圧症の60%、脂質異常症の54%、高LDLコレステロール血症の42%、糖尿病(境界型を含む)の63〜71%が脂肪肝であると報告されています。

 

このように脂肪肝と生活習慣病は密接な関係にあり、脂肪肝を生活習慣病の入り口と捉えることが大切です(※2、3)

 

※2 日本消化器病学会・日本肝臓学会『NAFLD/NASH診療ガイドライン(改訂第2版)』南江堂2020年

※3 日本肝臓学会「日本肝臓学会からの提言」

 

 

川本 徹

みなと芝クリニック 院長

 

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みなと芝クリニック 院長 東京女子医科大学非常勤講師
東邦大学医学部客員講師
元日本胆道学会評議員

1987年筑波大学医学専門学群卒業。1993年筑波大学大学院医学研究科修了。大学院修了後は筑波大学附属病院の消化器外科に所属し、研鑽を積む。

1996年筑波大学臨床医医学系外科講師に就任。胆道外科を専門とし、特に胆のうがん、胆管がんの外科治療に専従する。2003年に渡米し、アメリカのテキサス大学MDアンダーソンがんセンターにてがん分子標的薬の研究に従事し、がんの発生および進展メカニズムについて深い知見を有する。

現在は東京都港区にみなと芝クリニックを構え、内科・胃腸内科と外科のほかに、皮膚科、整形外科、大腸・肛門外科を標榜し、幅広い診療を行っている。

著者紹介

連載その放置が死を招く!?「脂肪肝」の怖さと正しい対処法

※本連載は、川本徹氏の著書『死肪肝』(幻冬舎MC)より一部を抜粋・再編集したものです。

死肪肝

死肪肝

川本 徹

幻冬舎メディアコンサルティング

沈黙の臓器、肝臓。 「気付いたときにはすでに手遅れ」を防ぐために――。 臨床と消化器がんを研究し、米国テキサス大学MDアンダーソンがんセンターでがん治療の最先端研究に携わった著者が、脂肪肝の基礎知識とともに肝…

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