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港湾運営のグローバル企業…ウクライナ危機の影響は?
ロシア・ウクライナ問題は、今のところ停戦の糸口も掴めず長期化の様相を呈しています。仮に停戦に向かったとしても、スウィフトからのロシア排除、ロシアからの石油など資源輸入禁止など世界の経済・ビジネス・投資活動にネガティブな要因が継続しそうです。合わせて、FRBの金融政策にも注視する必要があります。
市場の不安定になる一方、コロナによる規制が緩和される中、堅調な業績を示している企業も多くみられます。
ます、港湾運営のグローバル企業・インターナショナル・コンテナ・サービス(ICT)。港湾事業の収益が24%増加し、昨年の15億1千万米ドルに対し、18億7千万米ドルを計上しました。一方、経費は前年の12億ドルから4.7%削減し、11億ドルとなりました。
取扱量は、20フィート換算単位(TEU)で11,163,473TEUと、前年の10,193,384TEUに比べ約10%増加しました。これは、各国の封鎖政策の緩和やパンデミックの影響からの回復に伴い、貿易活動が再開されたことによるものです。
コロナ禍で、世界的なサプライチェーンの混乱によりコンテナ量が減少していましたが、ICTが事業を展開する国々では、パンデミックからの回復が進むにつれ、貿易量が増加しています。
ICTが運営する港湾はヨーロッパにもあり、バルト海や黒海の港は紛争地域に近いのですが、同社は現在ロシアとウクライナのいずれにも投資のエクスポージャーを持っていないため、この2国間で進行中の戦争の影響を実際に受ける事業は今のところないと言われています。
同社の事業は国際分散されており、特定の地域の経済衰退の影響を軽減できる形になっています。ICTのクリスチャン・ゴンザレス副社長は、インド、インドネシア、そしてアフリカでのビジネスチャンスに注目していると述べています。
ICTは特別現金配当を実施し、1株当たりの配当金を5.56ペソから6.00ペソに増額しました。この増配は、同社のキャッシュフローと純利益の継続的な増加により可能となったもので、株価の魅力が増しています。
ICTは、1987年マニラ港の国際コンテナターミナル(MICT)の運営・管理・開発のための公募に伴い、International Container Terminal Servicesが設立されました。1988年5月にMICTの運営権を獲得し、その後、フィリピン国内外に事業を拡大しています。同社は、主に国際コンテナ貨物の取り扱い事業を、各国の港湾局や政府と長期コンセッション契約を締結しています。