3.キャピタルロスのリスク
いま東南アジアの新興国では、にょきにょきタワマンが建設されています。供給過多になった場合は新築のタワマンの取引が多くなり、経年劣化も相まって中古のタワマンの価格は下がり続けます。
アメリカやイギリスといった、中古不動産の市場が成熟している国では中古の不動産価格は下がりませんが、経済成長途中で自国の通貨が弱い東南アジアの新興国では、市場が安定しません。
実際に10年前にマレーシアで購入した新築タワマンは、現在では中古タワマンとなり、価格が下がり続けています。
日本国内でも“異変”が…「中国人投資家」の動向
日本のタワマンも、東南アジアの新興国のタワマンも同様に、中国人投資家に買い支えられてきました。
いま、中国人投資家はかつて購入した日本のタワマンを手放し、日本の地方の宿泊施設に目を向けているようです。
東南アジアの新興国からも中国マネーは引き上げられています。いままで多くの中国人投資家が投資をしていたマレーシアは、外国人の長期滞在ビザ(MM2H)の条件を改悪することにより外国人を締め出そうとしています。中国マネーにより支えられたカンボジアからも、中国マネーが流出しています。
さらに、世界的なインフレ懸念からアメリカの利上げ観測が高まっています。計画通りアメリカの利上げがされた場合、いままで東南アジアの新興国に流れていた資金は逆流し、資金流出が相次ぐでしょう。
中国マネーや欧米の資金が東南アジアの新興国から引き上げられれば、通貨も弱くなります。経済成長のボトルネックとなりかねません。
「東南アジアのタワマン投資」における“鉄則”
東南アジア新興国のマクロ情報は、タワマン投資としては魅力的です。しかし新興国ならではのリスクを理解し投資をしなければなりません。漠然とマクロ情報だけを信じ、日本の海外不動産会社の情報を鵜呑みにして投資をすることは絶対に避けたいものです。
これから中国人や欧米人の資金が引き上げられ、東南アジアの新興国へのタワマン投資は苦境に立たされる可能性があります。