(※画像はイメージです/PIXTA)

日本人の死因トップは「がん(悪性新生物)」27.6%、次に多いのが「心疾患(高血圧性を除く)」15.0%です。ただし心疾患の中で死亡率が最も高いのは「心不全」であり、診断されてから5年後も生存している確率を比較すると、がんは68.4%(全部位、全病期)、心不全は50%以下。心不全は、死亡率トップのがんよりも生存率の低い、恐ろしい病気なのです。心不全のリスクを知り、早期発見するためのヒントを見ていきましょう。“心疾患・心臓リハビリ”の専門医・大堀克己医師が解説します。

実は「歳のせい」ではない…代表的な「心不全の予兆」

心不全はとても怖い病気ですが、その一方で適切な対応を行うことにより、予防したり再発を防いだりすることができます。少しでも早く体からのサインに気づき初期のうちに治療を受ければ、心不全を発症させずに済むかもしれませんし、発症したとしても軽症で済むのです。

 

一般に、心不全の予兆として見られる症状として、代表的なものは3つあります。

 

【①階段や坂道を上ると息が切れる】

心臓から十分な血液を送り出すことができなくなったり、肺のうっ血(肺胞の毛細血管において血液が増えた状態)が起こったりしている状態です。

 

以前はスイスイと階段や坂道を上ることができていたのに、急に息切れを感じるようになったら要注意です。

 

【②眠っているときに呼吸が苦しくなったり、咳が出たりする】

日中、重力で足に溜まっていた血液が体を横にしたことで心臓へ一気に戻り、心臓の負担が増えることで、肺のうっ血が起こります。その結果、呼吸が苦しくなったり、咳が出たりします。一般に「夜間発作性呼吸困難」と呼ばれる状態です。

 

ただし、上半身を起こすと心臓に戻る血液の量が減るために呼吸が楽になります(これを、「起座呼吸」と呼びます)。

 

【③むくみがひどい、または体重が一気に増加する】

心臓から血液を押し出す力が弱くなると、腎臓に流れる血液が少なくなります。その結果、尿の量が減り水分が体内に溜まっていき、むくみや体重増加が起こります。特にたくさん食べたわけではないのに、1週間に体重が2kg以上増えたら要注意です。

 

ある程度年齢を重ねた人は、息切れや動悸がひどくなっても「歳のせいだから」という一言で片付けがちです。

 

しかし、すべての不調や体調の変化が「歳のせい」とは限りません。むしろ、その背後に隠れている病気を見逃してしまうことのほうが危険です。

 

特に65歳以上で心臓の病気をもっていたり、高血圧や糖尿病など生活習慣病を発症していたりする人は、そうでない人に比べて心不全のリスクが高くなります。

 

また、日本循環器学会は「心不全セルフチェックシート」を公開しています【図表】。

 

日本循環器学会作成資料より
【図表】心不全セルフチェックシート 日本循環器学会作成資料より

 

これは、心不全を発症・再発するリスクがどれくらい高いか調べるものです。

 

これらのなかで特に注意したいのは、1、2、3、6、8、10です。動悸や息切れなどの自覚症状ももちろん大切ですが、それらは心不全以外にも起こります。しかし、1、2、3、6、8、10は心不全に特徴的な兆候です。

 

 

大堀 克己

社会医療法人北海道循環器病院 理事長

 

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    本記事は、大堀克己著『心不全と診断されたら最初に読む本』(幻冬舎MC)を抜粋・再編集したものです。

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