(※写真はイメージです/PIXTA)

コロナ禍で経営状況が悪化した企業も多いなか、所得税とは異なり赤字であっても納付義務が免除されることがない消費税は、中小企業経営者や個人事業主の悩みの種のひとつです。今回は、税理士法人グランサーズの共同代表である黒瀧泰介税理士が、消費税の特例について解説します。

消費税の特例①…納税義務の免除

課税売上高を1,000万円以下に調整して納税義務を免除

前段の最後に少し触れましたが、消費税は納税額の計算が煩雑なこともあり、売り上げが小さい事業者の場合、納税義務を免除する「免税事業者」に該当するケースがあります。

 

どのような場合に免税事業者になるのか

免税事業者になるのは、大きく分けて2つの場合があります。

 

まず1つ目は、新しく会社を設立した場合です。設立1年目と2年目の新しい会社は基本的に消費税の納税義務が免除されます。

 

ただし、資本金が1,000万円以上あるような場合や、前年の特定期間(1月1日~6月30日)までの課税売上高が1,000万円を超える場合には、納税義務が発生するので注意してください。

 

つまり、一定規模以上の会社や、1年目に明らかに売上を伸ばして今後課税事業者になることが明らかな会社などは例外になるということです。


2つ目は、「課税期間の基準期間における課税売上高が1,000万円以下」の場合です。この基準は、会社設立3年目以降でも適用されますし、一度課税事業者になっていても、途中から売上を調整することで免税事業者になることも可能です。


1年間の売上が1,000万円ギリギリの場合は、営業活動を調整するなどで、簡単に消費税の節税が可能ですが、適用が2年後になる点だけは注意してください。

 

【例】
2021年度課税売上高:1,200万円 ⇒ 2023年度 消費税納税
2022年度課税売上高:1,300万円 ⇒ 2024年度 消費税納税
2023年度課税売上高:800万円  ⇒ 2025年度 免税
2024年度課税売上高:1,500万円 ⇒ 2026年度 消費税納税

 

免税事業者になるとどのくらい節税できる?


免税事業者になることで、消費税の納税は免除されますが、全額節税効果になるわけではありません。免税事業者の場合、仕入れ等にかかった消費税額の控除ができなくなります。

たとえば次のような場合、

 

課税売上高 880万円:880万円 × 10/110=80万円
仕入れ等  660万円:660万円 × 10/110=60万円

 

この場合、免税事業者になると、仕入れ等にかかった60万円分の控除は使用できないため、20万円(80万円-60万円)分が節税効果になる計算になります。

 

一般的には、免税事業者になっていた方が得するケースが多いのですが、輸出業者などの場合は、消費税還付が使えなくなることで逆効果になることもあります。業態によっては例外的な事項もあるため、気になる場合は税理士まで相談してみてください。

 

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