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看護師を含めたスタッフのレベルが高い理由
(2)専門特化により全員の医療レベルが向上する
一般的に、病院勤務において看護師は、複雑な治療に慣れてきた場合でも、ローテーションで他の診療科に移動するケースが大半である。また、多くの患者を担当する必要があり、同じ疾患の患者ばかりみているわけではない。薬剤師や放射線技師、検査技師などの多くのスタッフも、病院全体の診療科の患者を担当している。そのため、医師はある程度専門性を高めることができても、看護師を含めたスタッフが専門性をあげることは、組織上難しい。
一方、専門特化型の場合は、すべての人が特定の領域において経験値を高めることが可能となる。その結果、専門性が向上しエキスパートになっていく。
安齋看護部外来主任は看護師の専門性向上について、「大学病院ではスタッフの育成のためにローテーションを行う。看護業務は経験しないとわからないことが多いため、ローテーションの仕組みは重要である。これらの経験が、専門特化型病院で活かされてくる。
例えば、患者は循環器疾患だけを抱えている人は少ない。糖尿病など、その他の病気を持っている方が大半である。色々な診療科の経験は、循環器のトリアージ(患者の重症度に基づいて、治療の優先度を決定して選別を行うこと。)での判別をつける時の基礎となる。」と、幅広く経験したことが、今の専門性の高い看護に役立っていると話す。
また、看護師の経験による状況判断力の向上と高い医療知識の必要性について、「看護師は、日頃からドクターがやりたい仕事をできるように支援する意識でいる。経験を積むと、知識だけがあがるのではなく医師の個性がわかるようになり、言いたいことが何か早く理解できるようになる。
例えば、指示などにおいて表現は医師により異なり、同じことでも言い方が違う。緊急性の高い救急医療において、医師が伝えたいこと、求めることを正しく理解することは重要である。専門に特化していると、医師が言いたいことがわかるので話が早いし、お互いの理解が早くなる。ただし、これは医療の知識がお互い高くないと難しい。」と指摘している。
谷脇循環器医長も、「看護師を含めたスタッフのレベルは高く、心電図やレントゲンの読影のレベルも高い。全員の専門性が高いことにより、治療におけるコミュニケーションがとりやすい。」と話す。この心電図やレントゲンの読影については、一般的に看護師や他の医療専門職では難しい。専門特化による経験の積み上げにより、読影が可能となっている。
桜田院長は、「医師のフォローをスタッフがやってくれることを評価している。全体のレベルが上がることでミスを未然に防ぎ、漏れが無くなっている。これは経験だけじゃなくて、専門特化した病院ならではの医療安全や治療、疾患などに対する教育システムが充実していることの現れでもある。」と強調する。