※画像はイメージです/PIXTA

親族の間で不動産を譲る手段には、「贈与」や「売買」があります。贈与は無償で譲ることができますが、譲り受けた人に高額な贈与税が課税されます。贈与税を避ける現実的な方法として、親族どうしで売買することが多いですが、親族間売買にも注意すべき点があります。みていきましょう。

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親族間売買で贈与税が課税される背景

不動産の親族間売買で贈与税が課税される背景には、売り手が買い手を思いやって売買価格が低くなることがあげられます。通常よりも著しく低い価格で売買した場合は、通常の価格との差額は贈与とみなされ贈与税の対象になってしまいます。

 

親族間売買では売買価格が低くなる傾向がある

不動産を第三者(たとえば不動産業者など)と取引するときは、売り手には「できるだけ高く売りたい」という意思があり、買い手には「できるだけ安く買いたい」という意思があります。売買価格は、利害が相反する売り手と買い手の合意によって決まります。

 

しかし、親子どうしなど親族間の売買では、買い手を思いやって売り手はできるだけ安く売ろうとします。第三者との取引ではまず起こらないことですが、売り手と買い手の利害が一致することで、第三者との取引に比べて売買価格が低くなる傾向があります。

 

通常の売買価格との差額は「みなし贈与」に

不動産を低価格で取引すると、買い手は通常の価格で取引した場合に比べて得をしたことになります。

 

不動産を著しく低い価格で購入したことで得をした金額は、税制上、売り手から買い手へ贈与があったとみなされます。

 

これを「みなし贈与」といいますが、みなし贈与があると、売買をしたにもかかわらず贈与税が課税されます。

 

たとえば、通常5,000万円で売買される不動産を親から子へ1,000万円で売り渡した場合は、買い手である子は4,000万円得をします。この4,000万円がみなし贈与となり、親から子への贈与として贈与税の対象になります。

 

親から子へ4,000万円の贈与があった場合の贈与税の額は1,530万円であり、この場合では不動産の購入価格を上回る税金がかかってしまいます。

 

みなし贈与については、相続税法第7条で次のように定められています。

 

相続税法

(贈与又は遺贈により取得したものとみなす場合)

第7条 著しく低い価額の対価で財産の譲渡を受けた場合においては、当該財産の譲渡があつた時において、当該財産の譲渡を受けた者が、当該対価と当該譲渡があつた時における当該財産の時価(当該財産の評価について第三章に特別の定めがある場合には、その規定により評価した価額)との差額に相当する金額を当該財産を譲渡した者から贈与(当該財産の譲渡が遺言によりなされた場合には、遺贈)により取得したものとみなす。

(以下省略)

 

出所:国税庁-相続税法第7条及び第9条の適用範囲に関する一考察「2研究の概要」より

 

みなし贈与について詳しい解説や、不動産の親族間売買以外でみなし贈与になる事例については、下記の記事を参照してください。思わぬ課税に要注意!みなし贈与の注意点

 

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本連載は、税理士法人チェスターが運営する「税理士が教える相続税の知識」内の記事を転載・再編集したものです。

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