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大廃業時代、目前…「約127万社が廃業予備軍」の恐怖
■「約650万人の雇用喪失、GDP約22兆円損失」の危機
2017年に経済産業省が発表した衝撃的なデータが日本中の経営者やアドバイザーを震撼させました。なんと2025年までに6割以上の経営者が引退年齢とされる70歳を超え、その企業のうち半分の127万社で後継者不足となり、このまま放置すると「大廃業時代」を迎え、約650万人の雇用と約22兆円にのぼるGDPが失われるおそれがあるというのです(図表1、2)。
このニュースには私もそれまでの仕事観が変わるほどのショックを受けたことを今でも覚えていますし、数年経った現在もこのまま何もせずに「大廃業時代」だけは迎えたくない、という危機感がクライアントへのアドバイスにおいて大きな影響を与えています。
国の発表も唐突になされた感がぬぐえませんが、経営者の引退年齢が起点となっている問題である限り、いま何も手を打たなければ国の試算どおりに進むしかないのです。国がこのような悪いニュースを国民に発表することは珍しいので、いよいよ国としてもメスを入れないととんでもないことになると考えてのことだと思います。
■全企業の7割が赤字という中、廃業予備軍は「6割以上が黒字」
ところで、この問題の本質は127万社という、とてつもない数の企業で後継者不在、つまり継ぎたい後継者候補が見当たらないということです。このようなことになってしまったのは、なぜなのでしょうか?
通常、廃業といえば、毎年赤字が続いてやむにやまれず事業の継続を断念せざるを得ない、というイメージがあります。廃業見込みの企業が赤字企業ばかりなのであれば、誰も継ぐ人がいないということは至極当然に思えます。実際のところはどうなのでしょうか?
なんと、廃業を迎えようとしている企業の6割以上は、黒字のまま廃業を迎えようとしています(図表3)。廃業する企業の赤字率は、国全体の赤字企業比率よりも大幅に低いのです。