(※写真はイメージです/PIXTA)

「不倫」「浮気」「離婚」「セクハラ」……銀座さいとう法律事務所には、今日も有象無象のトラブルが舞い込みます。本連載では、齋藤健博弁護士が実際に寄せられた事例をもとに、男女の法律問題を解説していきます。

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モラハラ夫と離婚したくても「強く言えなかった」ワケ

今回、離婚の相談に訪れたのは専業主婦の伊藤由美さん(51歳/女性・仮名)です。

 

由美さんは、伊藤正明さん(58歳/男性・仮名)と20歳のときにお見合い結婚をして以降、長く同居生活を営んできました。

 

成人したお子さんが3人おり、おばあちゃんでもあります。

 

ただ由美さんは、見た目が40代前半くらいに見えることもあってか、通っていたテニスクラブでよく“モテていた”そうです。正明さんはそれをよく思っていなかったらしく、由美さんが「テニスへ行く」と言うと、興味がないように装いつつも「帰りは何時になるんだ」「どんな職業や大学卒のひとがいるんだ」など、いつも色々なことを聞いてきました。

 

決して『行くな』と言われたことはないそうなのですが、なんとなく雰囲気で、行ってほしくないのだろうなとはわかっていた、と由美さんは語ります。

 

由美さんはテニスクラブに通っているように、スポーツ好きの活動的なタイプですが、正明さんは真逆のタイプでした。子どもたちは由美さんの気質を受け継いだようで、揃って快闊な性格だそうです。

 

正明さんとそもそも性格が合うわけではないこと、そして束縛が嫌だったことを理由に、子どもたちが自立したら離婚したい…とはずっと思っていたそうなのですが、なかなか言い出せない事情がありました。

 

その事情とは、由美さんが31歳のときに「不倫をしてしまった過去」があることです。元彼と再会した際に、しつこく誘われて一度関係を持ってしまったそうです。

 

当時、それを知った正明さんは、相手の男性と個別に話して念書を作成しました。念書には『伊藤正明の妻とは二度と会わない』『もしまた会った場合には罰金500万円』と記載されています。

 

自分が不倫をしたとはいえ、「正直、それを見てから夫が怖くなってしまったんです」と語る由美さん。ただ悪いことをした自覚はあるため、念書の内容にどうこう言うことはできなかったそうです。親族に相談をしても「自分が悪いんだから…」と言われていたとのこと。

 

不倫をしたという十字架を背負った由美さん。その後、離婚したいという思いを抱えながら、我慢し続けることになりました。

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