(※写真はイメージです/PIXTA)

「不倫」「浮気」「離婚」「セクハラ」……銀座さいとう法律事務所には、今日も有象無象のトラブルが舞い込みます。本連載では、齋藤健博弁護士が実際に寄せられた事例をもとに、男女の法律問題を解説していきます。

“イケメン医師”に不倫を迫られた看護師は…

今回の相談者は、総合病院で働く看護師の河野さん(仮名/39歳・女性)です。この病院にはイケメン医師として評判の大野さん(仮名/45歳・男性)がいました。大野さんは、総合病院で外来の内科医として勤める傍ら、産業医としても働いていたといいます。

 

さて、大野さんは既婚者ですが、イケメンとしてだけでなく“チャラい”ことでも院内で有名でした。これまでに勤めてきた複数の病院で看護師や患者と食事に行ったり、男女の関係を持ったりしていたと、もっぱらの噂だったそうです。

 

そんななか河野さんも積極的なアプローチを受け、当初は拒んでいたものの、「月に1回程度飲みに行くくらいなら…」と思ったが最後、次第に不倫関係になっていきました。

 

しかししばらく関係が続いた頃、河野さんの元へ「内容証明郵便」が届きます。開けてみると、関係を解消したいという旨、更には今までに渡された指輪やお金の返還、慰謝料を求めるという内容が記されていました。

 

この慰謝料請求、大野さんの妻からのものならもちろん理解できますが、なんと大野さん本人から送られてきたものです。

 

「お互いに非があるはずなのに、なぜ自分が?」と理不尽に思った河野さんは、慰謝料を払わなければならないのか、弁護士へ相談することを決めました。

相談のなかで見つけた「訴訟の手がかり」

河野さんは相談のなかで、大野さんから交際開始時に執拗に送られてきたメッセージを見せてくれました。「奥さんがいる方とは交際できません」と送っても、「好きだ」「会いたい」といった直接的な言葉だけでなく、自撮り写真やお金を送り返してくる様が確認できました。

 

河野さんには理不尽な気持ちや恨みが強く、訴訟をして争えるなら争いたいという意向であったため、その手がかりをつかむべく更にメッセージの内容を確認していきます。

 

すると、「こっちは裸の写真をもっているんだから」「お金は払うからまた会えないかな」「今日は無理にごめんね」などといった文章が目に留まりました。

 

仮に交際していたとしても、不法行為、すなわち写真を外に出すことを匂わせる連絡や、強制わいせつに近い行為は許されません。

 

この事実を用いて、河野さんは、大野さんに対して逆に訴訟をし返して争うことを決めました。

次ページ「訴状」によって…イケメン医師が迎えた悲惨な末路

※プライバシーに配慮し、実際の相談内容から変更している部分があります。

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