2021年12月分「機械受注」のデータ (※写真はイメージです/PIXTA)

本連載は、三井住友DSアセットマネジメント株式会社が提供する「宅森昭吉のエコノミックレポート」の『経済指標解説』を転載したものです。

 

12月分機械受注(除船電民需)は前月比+3.6%と3ヵ月連続増加となった

 

製造業・前月比+8.0%と2ヵ月連続増加、非製造業・前月比▲0.1%と2ヵ月連続減少

 

前月比と3ヵ月移動平均がともに3ヵ月連続増加などで「持ち直している」に判断を上方修正

 

コロナ第6波で慎重、1~3月期見通し前期比▲1.1%。各月前月比▲2.2%で達成

 

 

●12月分機械受注(除く船舶電力の民需ベース、以下、除船電民需と表記)の前月比は+3.6%と3ヵ月連続の増加になった。また、3ヵ月移動平均は前月比+3.6%と3ヵ月連続の増加になった。また、機械受注(除船電民需)の前年同月比は+5.1%で9ヵ月連続の増加になった。

 

●機械受注(除船電民需)の大型案件は、前回11月分では該当はなかったが、今回12月分でも該当はなかった。

 

●12月分製造業の前月比は+8.0%と2ヵ月連続の増加になった。12月分の製造業では17業種中、10業種で増加し、減少は7業種だった。原子力原動機、電子計算機等といった非鉄金属、化学機械、火水力機械といった化学工業などが増加に寄与したが、運搬機械、風水力機械といったはん用・生産用機械などが減少に寄与した。

 

●12月分非製造業(除船電民需)の前月比は▲0.1%と2ヵ月連続の減少になった。11月分では発電機1件、火水力原動機1件と計2件だった電力業は、12月分では火水力原動機2件、原子力原動機1件と計3件に増えた。電力業の前月比は+55.6%と2ヵ月ぶりの増加となった。12月分の船舶・電力を含む非製造業全体では前月比+5.9%と2ヵ月ぶりの増加になった。非製造業12業種中、6業種が増加で6業種が減少となった。建設機械、電子計算機等といった建設業などが増加に寄与した。一方、電子計算機等といった情報サービス業などが減少に寄与した。

 

●大型案件は、前回11月分は全体で4件。内訳をみると、電力業(発電機1件、火水力原動機1件)の民需が2件、外需が2件(電子計算機等2件)であった。今回12月分は全体で14件。内訳をみると、前述の電力業の民需が3件、官公需が2件で、内訳は地方公務1件(その他産業機械)、その他官公需1件(その他産業機械)である。また、外需が9件(風水力機械2件、船舶4件、火水力原動機1件、鉄道車両1件、化学機械1件)である。

 

●中小企業の動きを反映している部分がある代理店受注は12月分前月比▲8.0%と2ヵ月連続の減少となった。前年同月比は+5.8%と9ヵ月連続の増加になった。

 

●外需は、12月分の前月比が▲3.5%と3ヵ月ぶりの減少になった。前年同月比は+31.9%で9ヵ月連続の増加になった。

 

●内閣府の基調判断の推移をみると、21年5月分で「持ち直しの動きがみられる」に上方修正され、6月分に続き7月分でも据え置きとなっていた。しかし、8月分では「持ち直しの動きに足踏みがみられる」に判断が下方修正された。9月分・10月分では「持ち直しの動きに足踏みがみられる」に判断が据え置かれた。前回11月分では「持ち直しの動きがみられる」に上方修正された。今回12月分では「持ち直している」に上方修正された。

 

●機械受注(除船電民需)の10~12月期は前期比+3.1%の見通しであったが、実績は前期比+6.5%と見通しを上回った。機械受注(除船電民需)の10~12月期・前期比実績は2009年(平成21年)から21年までの13年間でみると、上振れ9回、下振れ4回となり、上振れしやすい傾向が継続した。

 

●機械受注(除船電民需)1~3月期の前期比見通しは▲1.1%である。新型コロナウイルス感染拡大・第6波の状況下、企業が設備投資に慎重になっている感じがする。1~3月期の前期比実績は09年(平成21年)から21年までの13年間でみると、上振れ8回、下振れ5回であり、若干上振れしやすい傾向がある四半期である。22年(令和4年)の見通しは単純集計値に過去3四半期平均の達成率95.3%をかけたものである。1~3月期の前期比見通しの▲1.1%を達成するためには、1月~3月の各月分が前月比▲2.2%が必要である。各月分が前月比0.0%なら1~3月期の前期比は+3.5%になる。なお、来月1月分の公表時に季節調整替えが行われ、過去に遡って季節調整値は変更される。

 

 

●景気ウォッチャー調査の設備投資関連・現状判断DIは、21年5月45.0(回答した景気ウォッチャー・5人)、6月50.0(同7人)、7月50.0(同7人)、8月45.8(同6人)、9月47.7(同11人)、10月53.6(同7人)、11月40.0(同5人)、12月46.9(同8人)、22年1月33.3(同3人)と推移している。1月では「ケーブルテレビ事業者を含む通信業界では、動画配信サービスの拡大等によるデータ量の増大に対応するため通信設備の更新が常に求められており、設備投資は継続的に行われている。ただし、高速通信機器を供給する側にも競合があり、半導体不足による部品代の高騰を販売価格に転嫁できず、利益を圧迫している。(東海:電気機械器具製造業〔総務担当〕)」というコメントがあった。

 

 

●一方、設備投資関連・先行き判断DIは21年5月37.5(回答した景気ウォッチャー・6人)、6月43.8(同4人)、7月43.8(同8人)と推移し、8月28.7(同7人)に落ち込んだ後、戻して、9月53.6(同7人)、10月52.8(同9人)、11月57.1(同7人)、12月60.0(同5人)と4ヵ月連続の50超になった後、22年1月37.5(同8人)まで低下した。1月では「食品の原料価格の高騰に加えて、設備投資に必要となる電子機器などの不足で、様々な厳しい状況が慢性化している。(近畿・化学工業〔企画担当〕)」というコメントがあった。

 

●日本工作機械工業会によると、1月分速報値の工作機械の国内向け受注額の前年同月比は+68.0%と、3月分+18.2%、4月分+70.6%、5月分+82.6%、6月分+91.1%、7月分+82.9%、8月分+93.2%、9月分+90.2%、10月分+74.1%、11月分+84.9%、12月分+60.8%に続き、11ヵ月連続の増加になった。受注が増加傾向にあることが示唆される。機械受注統計での民需からの工作機械受注も前年同月比2ケタ増加の動きになっている。12月分の前年同月比+67.8%と、3月分+17.0%、4月分+71.4%、5月分+85.6%、6月分+77.2%、7月分+84.8%、8月分+91.4%、9月分+80.1%、10月分+63.5%、11月分+90.7%に続き10ヵ月連続の増加である。

 

 

※当レポートの閲覧に当たっては【ご注意】をご参照ください(見当たらない場合は関連記事『2021年12月分「機械受注」のデータ』を参照)。

 

(2022年2月17日)

 

宅森 昭吉

三井住友DSアセットマネジメント株式会社

理事・チーフエコノミスト

 

三井住友DSアセットマネジメント株式会社 理事・チーフエコノミスト

旧三井銀行(現三井住友銀行)で都市銀行初のマーケットエコノミストを務める。さくら証券チーフエコノミストなどを経て現職。
パイオニアである日本の月次経済指標予測に定評がある。身近な社会データを予告信号とする、経済・金融のナウキャスト的予測手法を開発。その他、「景気ウォッチャー調査」などの開発・改善に取り組んできている。「より正確な景気判断のための経済統計の改善に関する研究会」など政府の経済統計改革にも参画。「景気循環学会」常務理事。
著書に『ジンクスで読む日本経済』(東洋経済新報社)など。

著者紹介

連載【宅森昭吉・理事・チーフ エコノミスト】エコノミックレポート/三井住友DSアセットマネジメント

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