人は歩いているときに頭が整理される
渋沢栄一:毎日、新しい何かを探そう
新型コロナウイルスの感染が世界の大問題になってから、僕は家で待機することが増え、自粛生活を過ごすことになりました。そのとき、僕は何もしないで休もうと思いました。
あの頃、本も読まず、テレビも見ないで1日を過ごしました。本当に何もしない1日を何日も過ごしました。
すると、「何もおもしろいことが浮かばないんだな」と気づきました。
これはダメだと思い、若いときにテレビのあるディレクターから、「ネタは街に落ちているんだから、街に出ろ!」と言われたことを思い出しました。そう言われた僕は当時、「遊びに行けということか」と思い、「それでその街とは、どこか」と考えました。そのときの僕の場合、渋谷と原宿だったわけです。
それで、無理やり用事をつくり、少しずつ渋谷に行くようになりました。それからずっと渋谷・原宿で、今になってもたまにウロチョロしています。10代の子たちは、「またおじさんが無理しているよ」と思っているかもしれません。しかし、おじさんも原宿を歩く権利はあるのです。
竹下通りを見に行くこともあります。全品390円のお店があるのですが、雑貨とか何でも安く売っています。そこには10代ぐらいの女の子しかいませんが、そういうお店に自分のほしいものが見つけられるかどうかというのも、僕にとって「自分が半ズボンでいられるかどうか」という気持ちと同じです。
「ああ、ここにカトちゃんの店があったな」とか、「タレントショップが昔あったじゃないか、あそこに」という淡い記憶を辿りながら歩くのも、また楽しいことです。
しかし、原宿とは不思議な空間で、あれだけみんながワチャワチャしている横に、東郷神社があります。急に薩摩の西郷隆盛さんの後輩・東郷平八郎が神様として祀られています。僕のほうも少しモードが変わります。「東郷さん、僕は忘れませんよ。あなたがバルチック艦隊を破ったこと」と語りかけたりします。
意外とそんなふうに遊んでいる最中に、仕事についてのアイデアが浮かんだりします。仕事の会議中に思いつくこともあれば、遊んでいるときに思いつくこともある。だから、仕事に無関係なときに積極的にアクションを起こすことはとても大事なんです。
人間は歩いているときに頭が整理されると、心理学の先生がおっしゃっていました。確かに僕もそうかなと思います。散歩していて、いつもだと表参道駅から電車で帰ります。あるいは、表参道から渋谷までは、ちょうどよい距離です。その距離を歩くのを嫌がってはまずいな、と思っています。体のためにも、心のためにも、この距離は全然歩ける距離にしておかないとダメだと僕は思います。
芸能界でお金を持ち始めるとタクシーに乗ります。マネージャーと移動でタクシー乗車はよいですが、自分がプライベートで遊びに行っているのにタクシー移動だと、見られるものを全部見落とす可能性があります。新たな発見をみすみす逃してしまいます。
「ああ、ここにカフェができたんだ」とか、「ここにあったアパレルショップ、潰れたんだ」とか、何かある。そういう小さな発見が大切です。
僕は何か一つ、仕事以外で楽しむことをしたいと思っていますので、この小さな発見は貴重なんです。渋沢さんが語る「毎日、新しい何かを探そう」を僕はこのように理解し、自分の感性を磨いています。
ビビる大木
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