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住宅ローン返済の肩代わりや資金援助は贈与税の対象となり、資金援助を受けた人(受贈者)が贈与税の申告手続きをしなければなりません。贈与税は申告漏れが多い税金です。そのため、税務署は不動産購入時からローン返済するまでの期間に資金贈与が行われていないかをチェックしています。みていきましょう。

税務署のローン返済に関連した資金贈与の情報収集手段

税務署は、贈与税の申告書が提出されていない場合でも、購入資金やローン返済資金についての情報を把握しています。そのため、無申告でもバレないと思い込んでいる人は、税務署の税務調査により指摘を受け、贈与税の本税以外にも加算税・延滞税の罰金を支払っているケースが多いです。

 

不動産を購入した際には税務署からお尋ね文書が送付される

税務署は、不動産を購入した年の年末年始ごろを目途として、お尋ね文書を発送します。

 

お尋ね文書の内容としては、不動産の購入資金の内訳について尋ねるもので、回答しない場合には催促されることもあります。また、親からの資金援助を受けた旨を回答した場合で、贈与税の申告をしなければ税務署から指摘を受ける確率は非常に高くなります。

 

なお、お尋ね文書には法的な回答義務はなく、お尋ね文書の回答を行わなくても罰則等はありません。ただし、税務署はお尋ねの回答が得られない場合でも、銀行調査などにより贈与の実体を把握できますので、贈与税の申告から逃れることはできません。

 

税務署は法務局から不動産の登記情報は収集している

住宅を購入する場合には、法務局で不動産登記の手続きをしなければなりません。

 

登記情報は税務署でなくても確認することができる書類ですが、税務署は法務局と連携することで、ほとんどの不動産登記情報を把握できる状態にあります。不動産登記情報では、住宅の購入時期や抵当権の有無、登記原因などが確認できますので、その情報に基づき税務署はお尋ね文書の送付や税務調査をしています。

 

税務署は贈与者の相続が発生した場合に生前贈与の状況も調べる

相続税は、亡くなった人(被相続人)の遺産すべてが相続税の対象財産となります。

 

相続税は被相続人の亡くなった時点の財産に課税しますが、相続税の税務調査では申告漏れの財産の有無を確認するために、被相続人の生前中の預金の移動状況も調べます。税務署は過去に遡り銀行口座の履歴を調べることができ、調査可能な期間は10年間です。

 

なお、生前中に被相続人が贈与していた場合でも、贈与税の非課税相当額や贈与税の申告済みであれば問題にはなりません。しかし、贈与税の納税漏れがあった場合には、最大7年前の申告年分まで遡り、贈与税を課税します。

 

贈与税を支払わないでローン返済の肩代わりをする方法

ローンの返済を肩代わりは贈与税の対象となりますが、贈与税を支払わずに資金援助する方法もあります。

 

肩代わりしたローン返済分の金額を所有権登記する

ローンの肩代わりが贈与税の対象になるのは、所有権割合とローンの返済割合が一致していないのが原因です。そのため、ローン返済の肩代わりをした金額分の所有権割合を資金援助する人の名義に変更すれば、所有権割合と返済割合は一致するため、贈与税は発生しません。

 

相続時精算課税制度はローン返済資金でも適用可能

ローン返済の資金援助に住宅非課税制度を利用することはできませんが、相続時精算課税制度を利用することで、最大2,500万円まで贈与税が非課税となります。

 

相続時精算課税制度は、60歳以上の祖父母(両親)から子(孫)に対して贈与した場合に利用できる特例であり、贈与する財産や用途に制限はありません。相続時精算課税制度を利用する際には、贈与を受けた翌年2月1日から3月15日の確定申告期間内に必ず申告手続きが必要です。

 

なお、相続時精算課税制度を利用して贈与を受けた財産については、贈与者が亡くなった際、贈与者の相続財産と合算して相続税を計算することになります。

親子間で金銭消費貸借契約を結べば贈与税は発生しない

一時的にローン返済の資金援助を受けた場合であっても、その金額を返済する場合には贈与には該当しません。そのため、親族間で金銭消費貸借契約を結び、その契約内容に基づき毎月返済すれば贈与税を支払わずに済みます。

 

親族間で金銭消費貸借契約を結ぶ場合でも、契約書に返済期間や利息等を記載し、契約内容を確実に履行することが重要です。「出世払い」や「その時払い」は認められず、契約書通りに返済していない場合には、税務署は形式上だけの金銭消費貸借とみなし、贈与税を課税する可能性があります。

 

なお、親族間の金銭消費貸借契約を結んだ場合には、税務署は定期的に返済状況を確認することもありますので、返済状況が確認できる書類は残しておいてください。

親子間の贈与は相続税の申告までを想定して行うべき

生前中に贈与税がかからない範囲内で親から子に贈与をすれば、将来の相続税の節税に繋がります。

 

しかし、相続税には相続開始前3年以内の贈与加算がありますし、財産の種類によっては贈与せずに相続税の特例を適用した方が節税になるケースもあります。そのため、相続税の節税のために贈与を行う場合には、贈与税・相続税双方の特例制度を検討することが必要です。

 

贈与税・相続税は税金の中でも専門性の高い分野ですので、税理士の中でも知識量に開きがあります。より節税を意識される場合には、相続税(贈与税)を専門とする税理士事務所に相談することを推奨します。

 

 

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    本連載は、税理士法人チェスターが運営する「税理士が教える相続税の知識」内の記事を転載・再編集したものです。

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