いつも「いまから」と考える
私は、人生とは、肉体的自由(カラダ)を土台に、経済的自由(カネ)と時間的自由(ヒマ)を得て、最終的に精神的自由(ココロ)を求める旅である、と考えています。
そして、戦略とは何かといえば、目的に向けて、ものごとの優先順位を決めることであると考えています。
もちろん、肉体的自由、経済的自由、時間的自由、精神的自由のうち、どのように優先順位をつけるかに一般解があるわけではありません。たとえば、青年期(25~50歳)に、子どもの教育費が必要な時期は、仕事のために時間的自由や精神的自由を犠牲にして経済的自由の獲得を優先するのも、一つの人生戦略です。
それでは、50歳を迎え、壮年期(50~65歳)に向けた人生戦略はどう考えればいいのでしょうか。
これももちろんそれぞれでしょうが、大切なのは、壮年期に向け、さらにその先の実年期(65~80歳)も視野に入れて、どのように優先順位をつけて組み合わせるかと、自らに問いかけることです。
私は15年ほど前から、偉大な功績を残した人物の足跡をたどる人物記念館を訪ねることをテーマに国内を旅しています。企画展を含め年間約60館のペースで回り、累計で1000館に迫るまでになりました。このライフワークで得た知識は、独自の情報源になっています。
一つの発見は、偉人には遅咲きの人が多いということです。40代や50代、あるいは60代から人生を完成させる道を進み始めているのです。
遅咲きの人たちに共通するのは、いつも「いまから」と考えていること。自分の人生を、「いまから」ステップアップさせたい、自分のピークはまだ先にあると思っていることです。
50代にとって、いまは厳しい時代です。定年や、その先の人生も視野に入り、自分の生き方に確信が持てず、深い霧のなかをさまよっているような感じがする。進む方向は正しいのか、舵を切るべきなのか、漠とした不安を抱えながら進んでいる。そんな思いを抱いている人が多いのではないでしょうか。
航海に羅針盤が必要なように、人生行路にも羅針盤は必要です。そこで、人生鳥瞰図の出番です。人生鳥瞰図は、進むべき道すじを示す羅針盤になるはずです。人生鳥瞰図が、読者の方々の「いまから」を後押しできれば幸いです。
久恒 啓一
多摩大学名誉教授・宮城大学名誉教授
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