(写真はイメージです/PIXTA)

相続と聞くと、ついつい故人のプラスの財産(預貯金や不動産、株式など)を承継することを想像してしまいがちですが、相続によって承継するのはプラスの財産だけではありません。借金などのマイナスの財産もまた相続によって承継されてしまいます。そのため、故人のマイナスの財産多い場合に「相続放棄」を行う人が多いのですが、実務上はそれ以外の理由でも相続放棄をする場合が多々あります。本記事では、相続放棄の理由はどのようなものがあるのか、具体例を挙げながら解説していきます。

財産を特定の相続人に集中させるために「相続放棄」

相続財産を相続人のうちの1名に集中させるために、他の相続人が相続放棄を行う場合があります。

 

たとえば、故人が地元で家業を営んでおり、故人の相続財産は家業を営んでいくために必要な古い店舗建物等の財産のみであった場合を想定してみてください。

 

地元を離れて暮らしている相続人らにとってしてみれば、家業を継ぐつもりもないので、財産的価値も高くない店舗建物等の相続財産はあまり魅力的ではない反面、これまで故人の家業をすぐ側で手伝ってきた相続人にとってしてみれば、家業を継ぐために相続財産を何としてでも相続したいと考えるのが通常でしょう。

 

もし他の相続人らが相続放棄をすれば、家業を継ぐ相続人は単独で相続財産を相続することができるというメリットがあります。

 

他方で、家業を継がない他の相続人らも、相続放棄をすることで後々、被相続人が家業について多額の借金をしていたことが判明したとしても、当該債務を負う必要がないという安心感を得ることができます。

 

このように、相続人らの思惑が合致して、相続財産を特定の相続人に集中させることを目的として、相続放棄手続が用いられる場合があります。

面倒な相続手続から解放されるために「相続放棄」

煩わしい相続手続から解放されるために相続放棄を行う場合もあります。

 

相続人間の仲が良好でない場合などは、だれがどの財産をいくら相続するのかという遺産分割協議でもめて泥沼化することが少なくありません。そのようなもめごとに巻き込まれることを嫌って相続放棄してしまうケースもあります。

 

それほどもめないケースでも、大した相続財産もなく、また生活に困っているわけでもない相続人が、面倒な相続手続を回避するために相続放棄をすることもあります。

 

とはいっても、相続放棄の手続も、必要書類を揃えたり、家庭裁判所に申立てを行ったりと、それなりに手間暇がかかる手続です。仕事が忙しく、煩わしい相続手続から解放されたいと思って相続放棄を選択したのに、相続放棄の手続自体に煩わされる…なんてことになってしまっては元も子もありません。

 

そのような場合には、弁護士などに、相続放棄の手続を依頼することも一案です。相続放棄の手続のみであれば、一般的な相続事件の依頼と比べかなり安価で依頼することができます。気になる方は法律事務所のウェブサイトを見て料金を確認してみましょう。

 

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