(写真はイメージです/PIXTA)

相続と聞くと、ついつい故人のプラスの財産(預貯金や不動産、株式など)を承継することを想像してしまいがちですが、相続によって承継するのはプラスの財産だけではありません。借金などのマイナスの財産もまた相続によって承継されてしまいます。そのため、故人のマイナスの財産多い場合に「相続放棄」を行う人が多いのですが、実務上はそれ以外の理由でも相続放棄をする場合が多々あります。本記事では、相続放棄の理由はどのようなものがあるのか、具体例を挙げながら解説していきます。

相続放棄申述書に記載がある「放棄の理由」6つ

相続放棄をするためには、家庭裁判所に相続放棄申述書を必要書類(戸籍など)と併せて提出する必要があります。

 

相続放棄申述書の書式は裁判所のサイトなどで公開されていますので気になる方は調べてみてください。

 

相続放棄申述書には、相続放棄をする理由について選択式で記入する欄があります。選択肢として挙げられているのは、以下6つです。

 

1.被相続人から生前に贈与を受けている

2.生活が安定している

3.遺産が少ない

4.遺産を分散させたくない

5.債務超過のため

6.その他

 

基本的にはどれを選んでいただいても相続放棄は問題なく認められますので、比較的近い理由のところに〇を入れると良いでしょう。

 

上で紹介した例でいうと、「相続財産を法定相続人のうちの1名に集中させたい場合」には4を、「遺産分割協議で揉めるのが煩わしい場合」には6に〇を入れて「遺産分割協議でもめたくないから」等と正直かつ端的に書けばOKです。

相続放棄照会書・回答書の記載で注意すべきポイント

相続放棄の申述を行うと、通常であれば1~2週間後に家庭裁判所から「相続放棄照会書・回答書」という書面が届きます(代理人に手続を依頼している場合は、届かなかったり、代理人宛に届くこともあります)。

 

「相続放棄照会書・回答書」にも、相続放棄をする理由について具体的に記載してくださいといった欄が設けられておりますので、相続放棄の理由について、記載してください。

 

少し注意が必要なのが、相続放棄の理由として、「他の相続人から強くお願いされたから」のような記載をしてしまうと、相続放棄が真意に基づくものであるかどうか、裁判所から確認のための電話がかかってきたり、裁判所への出頭を求められることがあります。

相続放棄に関する書類の記載方法に迷ったら…

相続放棄は、被相続人の財産を一切承継しないという非常に大きな効果を生じさせる手続となります。他方で、相続放棄には相続開始の事実を知ってから3か月以内という極めて短い期間制限が設けられています。そのため、自分は相続放棄した方が良いのか分からないという場合は、すぐに専門家に相談をして、納得のいく手続を選択するようにしましょう。

 

また、相続放棄手続が煩わしい方や、きちんと相続放棄できるかご不安の方、相続放棄申述書や照会書・回答書の記載方法に迷われている方々も、専門家に相談するとよいでしょう。

 

被相続人の財産が債務超過という理由以外にも、相続放棄の理由は多々あります。

 

裁判所の申述書には、相続放棄の理由を記載する必要がありますので、自分が相続放棄をする理由を記載しましょう。

 

 

堅田 勇気

Authense法律事務所

 

 

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