見積財務諸表を活用して税引き後のCFを検証
前回の続きです。
今回は、自己負担する所得税がいくらになるか、あるいは所得税を考慮するとどうなるか、税引後のキャッシュフローの検証をしてみましょう。
見積財務諸表(キャッシュフローツリー)に置き換えると下記のようになります。
物件価格+諸費用・・・・・・・・・・・5880万円+410万円
自己資本(E) ・・・・・・・・・・・・1000万円
ローン借入れ(LB)・・・・・・・・・・5290万円
総投資額(E+LB) ・・・・・・・・・・6290万円
総潜在収入(GPI)表面利回り8%・・・・4,704,000円
▲空室損5%・・・・・・・・・・・・・・235,200円
雑収入・・・・・・・・・・・・・・・・・0円
実効総収入(EGI)・・・・・・・・・・・4,468,800円
▲運営費(Opex)15%・・・・・・・・・705,600円
営業純利益(NOI)・・・・・・・・・・・3,763,200円
▲元利返済(ADS)・・・・・・・・・・・2,115,480円
税引前キャッシュフロー(BTCF)・・・・ 1,647,720円(約165万円)
1.年間賃料は、物件価格が5880万円で、表面利回り8%の設定ですから、
5880万円×8%=470.4万円
2.月額賃料は、
470.4万円÷12カ月=39.2万円
3.全体のボリュームは、戸当たり月額賃料が6.5万円/戸前後と仮定すれば、
39.2万円÷6.5万円≒6戸
4.全体の建物面積は、仮に新築で戸当たり面積が20㎡(約坪)であれば、
20㎡(約6坪)×6戸=120㎡(約36坪)
5.建物価格は、木造2階建てで建築坪単価75万円(税込)程度とすれば、
75万円×36坪=2700万円(土地価格は、5880万円−2700万円=3180万円)
6.減価償却を設備も含め定額法を使えば、
2700万円÷22年=122.7万円/年
7.LB=5290万円・金利1.25%・期間30年であれば、
月額返済は176,290円、年間返済は2,115,480円で、
内訳は金利652,890円・元本1,462,590円(初年度)
課税所得と「年収」は異なる点も考慮
8.したがって、(この物件が初めての場合の)課税所得は、
総投資額 6290万円
FCR 6%
NOI 377.4万円
▲減価償却 122.7万円
▲金利 65.3万円
▲青色申告特別控除 10万円
課税所得 179.4万円
税率(仮定) 30%
税額 53.8万円
課税所得約180万円で税率30%という仮定は、給与所得の課税所得が695万円−180万円=515万円以下ということですから、額面で700万円前後の年収と考えていいでしょう。
(※給与所得控除=700万円×10%+120万円=190万円、基礎控除38万円として、700万円−190万円−38万円=472万円・・・不動産課税所得180万円を加えると、652万円=330万円超695万円以下→所得税20%+住民税10%)