今回は、不動産投資の成功のカギを握る「ファイナンスの技術」について見ていきます。※本連載は、株式会社アセットビルドの代表取締役・猪俣淳氏の著書、『誰も書かなかった不動産投資の出口戦略・組合せ戦略』(住宅新報社)の中から一部を抜粋し、不動産投資で「自分に合ったスタイル」を導き出し、成功するためのノウハウをご紹介します。

より良い条件で、必要なローン借りるには技術が必要

前回の続きです。不動産投資でここだけは押さえておくべき重要ポイントを見ていきます。

 

(3)ファイナンスの技術

 

現金で投資を行う場合ももちろんありますが、例えば、レバレッジを効かせて資金の運用効率を高める、より投資規模を拡大する、といった投資判断をする場合には、より良い条件で、必要なローンを借りるという「ファイナンスの技術」が必要になります。

 

金融機関の融資姿勢によって不動産市場は大きな影響を受けますので、ファイナンスに関する知識や金融機関の動向の把握は、投資を成功させるうえでは重要なポイントとなります。

 

不動産投資は、私たち自己資本を出資する「エクイティ投資家」と、金利収入を生じさせる債権としての融資で出資する「デット投資家」としての金融機関との共同投資です。

金融機関の特色と動向を把握し、投資計画を実現させる

金融機関はそれぞれ、独自のリスクに対する考え方を持ち、制限や規定を持っています。

 

ある銀行は借入れする個人の属性を重視しますし、ある銀行は物件自体の収益性や担保力に重点を置きます。融資期間ひとつとっても、担保掛目や事業収支、建物構造、築年数などによって扱いはまちまちです。

 

新しいアパートローン商品を開発したばかりの金融機関は、その商品が市場に受け入れられ借手に支持されるか、不安でいっぱいかもしれません。今期の成績を達成するには、今週中にあともう一本の融資実行が必要で課を上げて貸出先を必死に探しているかもしれません。

 

もしかしたら、人事異動が行われて、新支店長が本店審査部から転任してきた途端に融資が一気に厳しくなって悩んでいる支店があるかもしれません。金融機関の融資姿勢や、融資条件はめまぐるしく変化します。金融機関の取扱姿勢や規定で押さえるべき条件は、基本的に3項目です。

 

1.物件価格の何割まで融資を借りることができるか(LTV)

2.融資金利は何%か(固定・変動)

3.融資期間(構造・築年数・年齢などによる条件)

 

それ以外にも個人・法人の取扱いや、借入経費・繰上返済経費、保証人の有無、抵当権設定と融資実行のタイミング、建物の遵法性や用途による制限など、さまざまな要素があります。

 

まったく同じ物件に投資をする場合でも、ファイナンスの条件によっては、投資として成立する場合もあれば成立しない場合もあります。そういった意味でも金融機関の特色と動向を把握し、それに沿った投資計画を実現させていく「ファイナンスの技術」は重要であるといえるでしょう。

本連載は、2016年3月31日刊行の書籍『誰も書かなかった不動産投資の出口戦略・組合せ戦略』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

誰も書かなかった不動産投資の 出口戦略・組合せ戦略

誰も書かなかった不動産投資の 出口戦略・組合せ戦略

猪俣 淳

住宅新報社

本書は、不動産投資において想定される“あらゆるスタイルの投資家”が、ご自身の投資を定量化し、方向性を検討したり、強みと弱みを把握したり、最適化を図る…といった視点で使える「ツール」としての機能を重視して、ほぼ全…

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