将来にわたって賃貸収入を得られるか?
前回の続きです。不動産投資でここだけは押さえておくべき重要ポイントを見ていきます。
(1)貸せるかどうかの判断
どんなに高い満室想定利回りの物件でも、入居者がつかないことには絵に描いた餅になりますし、そもそも不動産投資は成立しません。
購入を検討している物件が現在満室で稼働していたとしても、これから先将来にわたって貸し続けることができるかどうかの保証にはなりません。
売主業者や販売業者に購入や建築の条件として数十年の「一括借上げ保証」をつけてもらえたとしても、法律上、それが不動産業者だったとしても借主には強い権利がありますので、賃貸市場が悪くなったときには、借上賃料の大幅な減額か賃貸借契約の解除かという二者択一を迫られることになります。
後になって「こんなことなら、やらなかったのに」と後悔したり、寝耳に水の事態に困難な対応をするはめになりたくなければ、市場の空室率や賃料水準が現在どのようになっていて、その物件はどういったポジションにあるのか、また今後どうやって変化していく可能性があるのか、ということを、政府の統計や自治体のデータ、地域の企業や大学などの状況といったマクロ分析、そして競合物件の動向や着工状況、検討物件の入居状況一覧(レントロール)・運営履歴(トラックレコード)といったミクロ分析を、それぞれ行うことです。
市場分析の結果100パーセント正しい答えが導き出せるとは限りませんが、少なくとも、詳細に調査と分析を重ねればより正確な予想をたてることができます。また、市場分析を通じてその物件の強みや弱みを発見することができれば、それが投資を成功に導く突破口になることも珍しくありません。
自分に適した投資スタイルを知る
(2)効率性と安全性の判断
投資を行う場合、リスクとリターンはトレードオフの関係にあります。高いリターンを求めればリスクはそれに応じて高くなり、高い安全性を求めればリターンは少なくなります。
多くの投資家は「ローリスク・ハイリターン」を指向しますし、それを実現していると主張する投資家も少なくありません。しかし、あたかも「ローリスク・ハイリターン」に見えていた投資が実際には、
①購入時や投資の初期段階では顕在化していない大きなリスクにまだ気づいていなかったなどの理由で実は「ハイリスク・ハイリターン」だった
②売却時のキャピタルロスや、保有時の維持管理コストなどが顕在化しておらず、想定ほどリターンが得られなかったなどの理由で実は「ローリスク・ローリターン」だった
ということは決して珍しくありません。
投資家によって投資スタンスは異なりますので、「もっとリスクテイクしてでも積極的なチャレンジをすればよかった」「安全志向で投資を進めていくつもりだったのに、思わぬリスクを背負うことになってしまった」などといったボタンの掛け違いを避けるためにも、自分自身がどういった投資スタイルに適しているのかを知ることは大切です。
また、ひとりの投資家が、さまざまな投資スタンスの物件を複数のポートフォリオとして保有するということもありますので、それがどういう投資なのかということを、効率性と安全性、そしてどのように自己資金や融資などの条件を変化させればどのくらいリスクとリターンに影響を与えるのかということを、数値化して捉えることができるかどうかということが、重要な要素となります。