前回は、オペレーティングリース事業への投資のタイミングを判断するポイントについて説明しました。今回は、オペレーティングリース投資における「資金繰り」の重要性について見ていきます。

資金が一定期間「固定化」されてしまう点に留意

本連載で見てきたように、オペレーティングリースでは、1000万円、1億円、5億円といった単位の投資を行うことになります。こうした投資が1年で減価償却できる場合もありますので、課税の繰延効果は抜群です。

 

一方で、オペレーティングリースでは資産が固定化されてしまうことに気をつけなければなりません。投資額の現金がヘリコプターなどの賃貸借資産に変わるため、数年間は現金化することができなくなりますから、資金繰りのことを十分に検討したうえで投資の可否を判断する必要があります。

 

例えば、会社が自己資金5億円でヘリコプターを取得し、賃貸期間5年、年間賃貸料5000万円、賃貸期間経過後3億円で売却すると仮定した場合、賃貸期間5年間では、投資額5億円の現金流出に対して、半分の2億5000万円が回収されているのみです。6年目にヘリコプターが3億円で売却できて初めて、投資額以上の5億5000万円が回収できることになります。つまり、この例では、会社は2億5000万円を5年間、自由に使えなくなっているのです。

 

当然のことですが、会社にとって最も大事な資産は、現金です。タックスマネジメントを実践して、オペレーティングリースに投資したけれども、資金繰りが苦しくなっては元も子もありませんので、気をつけてください。

本連載は、2014年4月25日刊行の書籍『スゴい「減価償却」』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。
本連載の内容に関しては正確性を期していますが、内容について保証するものではございません。取引等の最終判断に関しては、税理士または税務署に確認するなどして、ご自身の判断でお願いいたします。

スゴい「減価償却」

スゴい「減価償却」

杉本 俊伸+GTAC

幻冬舎メディアコンサルティング

「減価償却で節税」とはよく聞きますが、課税と節税の仕組みを十分に理解して使いこなせている人は多くありません。 減価償却を活用するポイントは、タックスマネジメントです。タックスマネジメントとは、税額や納付のタイミ…

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