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6社のゼネコンが「倉庫の建設」コンペにエントリー
温度管理倉庫の建設を計画している医薬品原料商社を紹介してもらったときは、CM(コンストラクションマネジメント)を任された設計事務所が1年程度の時間をかけて基本設計を進めている段階だった。
その基本設計に従って、筆者ら(三和建設)を含め6社のゼネコンが概算見積と、性能や価値を下げずにコストを抑えるVE(Value Engineering・バリューエンジニアリング)案、CD(Cost Down・コストダウン)(※記事末尾にて詳述)案を出すことになる。
後発となった当社は、設計事務所からすれば「施主の紹介であとから割り込んできた」という感覚だったかもしれない。規模的に大きな会社でもないため、「この案件は難しいけれど、あなたたちにできるのか」といった心情が見え隠れする対応だった。
確かに簡単なプロジェクトではない。保管するものが医薬品原料なので、品質管理を目的として一定の温度帯で管理しなくてはならず、また防虫にも徹底した対策が必要だった。
医薬品原料を保管する場合、GMP(Good Manufacturing Practice)という適正製造規範(製造管理・品質管理基準)がある。
品質管理とは、医薬品などの原材料の入荷、検品から製造、製品の包装、出荷管理、製品保管、回収処理などに関わる業務で、倉庫での管理もこの基準をクリアしなければならない。
ただ、当社は食品工場に関する豊富な設計・施工経験から、温度管理や防虫に関しても、何が瑕疵(かし)につながるのか、その怖さも十分に分かっている。また、あらゆる状況に対応できるアイデアも蓄積してきた。
設計事務所には最初の面談で話しているうちに、当社にノウハウとアイデアがあることが伝わったようで、コンペにエントリーすることができた。