「“倉庫建設”のコンペ」中小企業が大手ゼネコンに勝てたワケ (※写真はイメージです/PIXTA)

工場・倉庫建設は、住居や商業オフィスなどの建設とは異なり、建設会社や設計事務所に工場・倉庫の建設実績がなければ、理想の建物を建てることは難しい。にもかかわらず、知識や実績のない会社が安請け合いしている実情がある。パートナーとなる会社選定の重要性について、「温度管理倉庫」の事例をもとに、三和建設株式会社・社長の森本尚孝氏が解説していく。

【関連記事】食品工場、あわや「滅茶苦茶な設計図」のまま建設…“工場を建てられない建設会社”があるワケ

6社のゼネコンが「倉庫の建設」コンペにエントリー

温度管理倉庫の建設を計画している医薬品原料商社を紹介してもらったときは、CM(コンストラクションマネジメント)を任された設計事務所が1年程度の時間をかけて基本設計を進めている段階だった。

 

[図表1]基本データ

 

その基本設計に従って、筆者ら(三和建設)を含め6社のゼネコンが概算見積と、性能や価値を下げずにコストを抑えるVE(Value Engineering・バリューエンジニアリング)案、CD(Cost Down・コストダウン)(※記事末尾にて詳述)案を出すことになる。

 

後発となった当社は、設計事務所からすれば「施主の紹介であとから割り込んできた」という感覚だったかもしれない。規模的に大きな会社でもないため、「この案件は難しいけれど、あなたたちにできるのか」といった心情が見え隠れする対応だった。

 

確かに簡単なプロジェクトではない。保管するものが医薬品原料なので、品質管理を目的として一定の温度帯で管理しなくてはならず、また防虫にも徹底した対策が必要だった。

 

医薬品原料を保管する場合、GMP(Good Manufacturing Practice)という適正製造規範(製造管理・品質管理基準)がある。

 

品質管理とは、医薬品などの原材料の入荷、検品から製造、製品の包装、出荷管理、製品保管、回収処理などに関わる業務で、倉庫での管理もこの基準をクリアしなければならない。

 

ただ、当社は食品工場に関する豊富な設計・施工経験から、温度管理や防虫に関しても、何が瑕疵(かし)につながるのか、その怖さも十分に分かっている。また、あらゆる状況に対応できるアイデアも蓄積してきた。

 

設計事務所には最初の面談で話しているうちに、当社にノウハウとアイデアがあることが伝わったようで、コンペにエントリーすることができた。

三和建設株式会社 代表取締役社長 

1971年京都生まれ。大阪大学工学部建築工学科卒業、同大学院修了。

大手ゼネコン勤務を経て、2001年、「サントリー山崎蒸溜所」をはじめ大手企業の建物・工場等を70年以上にわたり建設してきた三和建設株式会社に入社。2008年、4代目社長に就任。

長年にわたり培ってきた豊富な実績を活かし、「単なる建設」を超えた、「顧客の真の要望とメリットを最優先した価値提案」にこだわり続ける。

三和建設はGreat Place to Work® Institute Japanが実施する2021年版「日本における『働きがいのある会社』ランキング」にて7年連続でランクインする。

著者紹介

連載「工場・倉庫づくりのポイント」理想の建設計画

※本連載は、森本尚孝氏の著書『工場・倉庫建設は契約までが9割 完璧な事前準備と最適なパートナー選びでつくる理想の工場・倉庫』から一部を抜粋・再編集したものです。

工場・倉庫建設は契約までが9割 完璧な事前準備と最適なパートナー選びでつくる理想の工場・倉庫

工場・倉庫建設は契約までが9割 完璧な事前準備と最適なパートナー選びでつくる理想の工場・倉庫

森本 尚孝

幻冬舎メディアコンサルティング

新しい工場・倉庫の建設は企業にとって社運を賭ける一大事業である。 これまで多くの工場・倉庫・事務所ビルの建設に携わってきた筆者は、理想の工場・倉庫づくりに最も大切なのは、「一緒に考え、つくり上げていく」パート…

メルマガ会員限定記事をお読みいただける他、新着記事の一覧をメールで配信。カメハメハ倶楽部主催の各種セミナー案内等、知的武装をし、行動するための情報を厳選してお届けします。

登録していただいた方の中から
毎日抽選で1名様に人気書籍をプレゼント!
会員向けセミナーの一覧
TOPへ