工場へ苦情「騒音・排気が気になる」…住宅が“あとから建てられた例”でも規制されるか (※写真はイメージです/PIXTA)

工場や倉庫の建設を考える際には、立地の特性をしっかりと見極めることが大切である。法的な問題だけでなく、近隣がどのようなエリアであるかにも注意したほうがよい。では「今後住宅が建設される可能性があるエリア」についてはどう考えるべきだろうか。工場・倉庫の立地の注意点について、三和建設株式会社・社長の森本尚孝氏が解説していく。

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「どのエリアに建てるか」住宅地の近くに建てると…

店舗や住宅で立地が重視されるように、工場・倉庫においても立地は重要なポイントである。特に新しい土地に建てる場合には、その土地の特性に気をつけなければならない。用途地域や建ぺい率、容積率などの明確な特性以外にも、次のような注意点が挙げられる。

 

①工場や倉庫用地としての開発が予定されているエリアかどうか

 

工場はどこに建ててもよいというものではない。どの土地にどのような建物が建てられるかは、都市計画法で定められている用途地域に従う必要がある。

 

用途地域は13種類あり、大きくは住宅系・商業系・工業系に分かれている。工業系の用途地域には、準工業地域・工業地域・工業専用地域があり、工場はこの工業系の用途地域に建てられることがほとんどだ。準工業地域であっても、火薬・石油などの危険物貯蔵量が多い工場や環境を著しく悪化させる工場は建てられない。

 

土地が決まったとしても、その土地の中でいくらでも建物が建てられるというわけではない。

 

敷地面積に対する建築面積の比率である建ぺい率と、敷地面積に対する延べ面積の比率である容積率、さらに建物の高さや、周辺の採光や通風を保つための斜線制限や日影規制など、建築基準法に従ってさまざまな規制が設けられ、地域ごとに制限されているからである。

 

法的な問題をクリアしたとしても、近隣がどのようなエリアであるかは注意したほうがよい。

 

特に大きな騒音や大量の排気が出る工場の場合、建物が竣工したあとに周囲に住宅が建つと、「騒音がうるさい」「排気・排水が臭う」「操業時間を制限しろ」といった苦情を受ける恐れがある。

 

都市計画の地域区分や法律の違いにもよるが、公害防止法や大気汚染防止法、騒音防止条例などに基づいて、あとから建てられた住宅に対しても工場側に規制義務が生じるケースも少なくない。できれば住宅地の近くや、今後住宅が建設される可能性があるエリアは避けたほうが無難である。

 

仮に法的には問題なくても、近隣住民との良好な関係は、工場倉庫の操業にとって望ましいことはいうまでもない。

三和建設株式会社 代表取締役社長 

1971年京都生まれ。大阪大学工学部建築工学科卒業、同大学院修了。

大手ゼネコン勤務を経て、2001年、「サントリー山崎蒸溜所」をはじめ大手企業の建物・工場等を70年以上にわたり建設してきた三和建設株式会社に入社。2008年、4代目社長に就任。

長年にわたり培ってきた豊富な実績を活かし、「単なる建設」を超えた、「顧客の真の要望とメリットを最優先した価値提案」にこだわり続ける。

三和建設はGreat Place to Work® Institute Japanが実施する2021年版「日本における『働きがいのある会社』ランキング」にて7年連続でランクインする。

著者紹介

連載「工場・倉庫づくりのポイント」理想の建設計画

※本連載は、森本尚孝氏の著書『工場・倉庫建設は契約までが9割 完璧な事前準備と最適なパートナー選びでつくる理想の工場・倉庫』から一部を抜粋・再編集したものです。

工場・倉庫建設は契約までが9割 完璧な事前準備と最適なパートナー選びでつくる理想の工場・倉庫

工場・倉庫建設は契約までが9割 完璧な事前準備と最適なパートナー選びでつくる理想の工場・倉庫

森本 尚孝

幻冬舎メディアコンサルティング

新しい工場・倉庫の建設は企業にとって社運を賭ける一大事業である。 これまで多くの工場・倉庫・事務所ビルの建設に携わってきた筆者は、理想の工場・倉庫づくりに最も大切なのは、「一緒に考え、つくり上げていく」パート…

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