(※画像はイメージです/PIXTA)

中小企業経営者や個人事業主であれば知っておきたい「減価償却」の知識。ルールが多く、難しく思えるものですが、企業経営を左右するものでもあるので、基本くらいは押さえておきたいところ。減価償却、その仕組みとメリットなどを整理してみていきましょう。

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そもそも「減価償却」とは?

会社が保有する資産は大きく、業務のために用いられる建物、建物附属設備、機械装置、器具備品、車両運搬具などのように時の経過等によってその価値が減っていく資産と、土地や骨とう品などのように時の経過により価値が減少しない資産の2つに分けることができます。そして前者のような資産を「減価償却資産」と呼びます。

 

[減価償却資産の例]

建物・工場、設備、備品・工具、ソフトウエア、特許権や意匠権、商標権などの権利、家畜、樹木……

 

[減価償却資産ではないものの例]

美術品・骨董品、土地・借用権、建設中の建物、棚卸資産

 

そして、減価償却資産を取得した際には、取得したときに全額必要経費として考えるものではなく、その資産の使用可能期間の全期間に渡り、分割して必要経費として考えるべきとされています。

 

たとえば、ある年に1,000万円の機器を購入して10年に渡り使用したとします。もし1,000万円を初年度に全額計上すると、その翌年からは費用がかかっていないにも関わらず、収益だけが発生する事態となってしまいます。費用を計上すべきなのは、その会計年度に使用した分だけなので、1,000万円を10年で割り、一度、資産として計上した後に、費用として振り替えていくというのが、減価償却の基本的な考え方となります。

 

よく減価償却を「固定資産の価値が減少した分を費用計上する」というように説明するケースがみられますが、ここでいう価値は経年劣化による市場価値ではなく、「その年の利益を作り出した結果減少した価値」を指します。

 

また資産の事情ごとに耐用年数がバラバラでは、会計があまりにも煩雑になるので、資産ごとに耐用年収は決められています。たとえば木造の住宅であれば22年。それが鉄筋コンクリート造になると47年になります。前出の通り、家畜も減価償却資産で、牛なら4~6年、馬なら4~8年、豚なら3年と決められています。

 

また資産の取得価額は、購入金額に加えて、その取引にかかる運賃や設置費用など、資産を使用できるようになるまでにかかった費用も含めることができます。ただし、以下については、取得に際しかかった費用でも、取得価額に含めないという選択ができます。

 

(1) 次のような租税公課等

イ 不動産取得税又は自動車取得税

ロ 新増設に係る事業所税

ハ 登録免許税その他登記又は登録のために要する費用

 

(2) 建物の建設等のために行った調査、測量、設計、基礎工事等でその建設計画を変更したことにより不要となったものに係る費用

 

(3) いったん結んだ減価償却資産の取得に関する契約を解除して、他の減価償却資産を取得することにした場合に支出する違約金

 

(4) 減価償却資産を取得するための借入金の利子(使用を開始するまでの期間に係る部分)

 

(注) 使用を開始した後の期間に係る借入金の利子は、期間の経過に応じて損金の額に算入します。

 

(5) 割賦販売契約などによって購入した減価償却資産の取得価額のうち、契約において購入代価と割賦期間分の利息や売手側の代金回収のための費用等が明らかに区分されている場合のその利息や費用

 

出所:国税庁『タックスアンサー(よくある税の質問)』No.5400 減価償却資産の取得価額に含めないことができる付随費用

 

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