(※画像はイメージです/PIXTA)

中小企業経営者や個人事業主であれば知っておきたい「減価償却」の知識。ルールが多く、難しく思えるものですが、企業経営を左右するものでもあるので、基本くらいは押さえておきたいところ。減価償却、その仕組みとメリットなどを整理してみていきましょう。

「減価償却」の2つの計算方法

減価償却費の計算方法には、「定額法」と「定率法」の2種類があります。法人税法では定率法を原則としていますが、「減価償却資産の償却方法の届出書」を税務署に提出すれば、定額法で申告することもできます。

 

◆定額法

固定資産を購入した金額を、法律で定められた耐用年数で割り、毎年一定の金額を計上する計算方法です。

 

【定額法による減価償却費】

減価償却費 = 取得価額×定額法の償却率

 

◆定率法

定率法は、毎年一定の割合ずつ減価償却をしていく方法です。一定の割合をかけ合わせるため、減価償却費は初年度が最も大きく、徐々に小さくなっていくのが特徴です。早く資産を償却し、費用回収できることがメリットです。

 

【定率法による減価償却費】

減価償却費 =未償却残高(購入年度は取得価額)×定率法償却率

減価償却のメリットと注意点

収益が多ければ、それだけ法人税や所得税がかかりますが、減価償却費として法定耐用年数に応じて費用を分割計できれば、利益を抑えることができ、税金の圧縮に繋がります。また購入金額が10万円未満かつ耐用年数が1年未満の固定資産であれば、「少額減価償却資産」として取得年度に経費計上できます。さらに多額の費用を算出した初年度に全額費用計上をするわけではないので、財務状況が良く見えるメリットも。

 

国税庁の資料によると、令和元年度、当期発生分減価償却費の損金算入額は89万3279法人合計29兆7,486億円で、当期発生分損金算入限度額31兆6,520億円に対する損金算入の割合(損金算入割合)は93.98%となっています。多くの企業が減価償却の仕組みを活用しています。

 

一方で、ルールが複雑な減価償却は、耐用年数を間違えるなど、ミスが起こりがち。税務調査で指摘されるケースも少なくありません。

 

また不動産をローンで建築・購入する場合、減価償却期間よりも返済期間のほうが長くなるケースは珍しくありません。減価償却期間が過ぎると、税金負担が増える可能性が高いので、償却期間と返済期間をしっかりと把握しておく必要があるでしょう。

 

さらに減価償却した建物を売却すると譲渡所得税が高くなる可能性があります。もし売却を検討する場合は、譲渡所得税や法人税を考慮して進めることが肝心です。

 

 

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