前回は、プライベートカンパニーの「株価」を算出する方法を説明しました。今回は、「節税のための賃貸経営」が抱えるリスクについて見ていきます。

節税を追いかけると「お金が逃げていく」理由

私たちは常々「節税を追いかけるとなぜか、お金が逃げていく」と警鐘を鳴らしています。世の中の節税対策といわれるもののほとんどが、投下する資金額に対して得られるリターンが、節税分を考慮しても少なすぎるのです。

 

節税にエネルギーを使いすぎず、むしろ本業を伸ばしてばんばん稼ぎ、ちゃんと税金も支払い、税引き後のキャッシュフローを高めた方がむしろ効率的ではないでしょうか。本業の商品やサービスの価値提供と納税は、どちらも優れた社会貢献でもあります。

 

減価償却についても、節税法の中で語られることが多いのですが、減価償却とは時間とともに資産の価値が落ちていくから経費になるのであって、節税のためにあるのではありません。価値の下落=減価償却なのであって、包括利益が減る分、経費になっているだけのことです。

 

木造アパートは、きちんと修繕や維持管理を行っていないと、寿命は20〜30年でしょう。結局、プライベートカンパニーによる「土地建物所有方式」においても、立地が悪ければ思うような収益は得られません。

甘い予測ではない、適切な収支計画を考える

また、収益不動産を売却するときは、収益還元法で価格が決まります。土地建物を合わせても、建物の新築価格程度にしかならないこともあり、そうなると土地の価格分が消えたことになります。

 

賃貸経営は現実には想定以上の経費がかかるのです。節税になるからといって甘い収支計画で判断しては後悔します。賃貸経営のリスクを予測し、適切な事業計画のもとで行うことが大切なのです。

 

そう考えると、「土地建物所有方式」ではとりわけ不動産の目利きが大切になります。不動産投資そのものなので、投資リスクが伴う以上、当たり前といえば当たり前です。

 

不動産投資を熟知した不動産・経営コンサルタントと、実際に税務処理を行う税理士、プライベートカンパニーを設立する司法書士の三者がそろって初めて、実行可能となるスキームです。

 

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本連載は、2015年9月19日刊行の書籍『余命一カ月の相続税対策』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。
〈税務の取扱に関する留意点〉
本連載の内容は、平成28年7月現在の税制・関係法令等に基づき記載しております。今後の税制改正等により税務の取扱等が変わる場合もありますので、記載の内容につきましては将来にわたって保証されるものではないことにご注意ください。個別の税務取扱い等については、税理士や所轄税務署等にご確認されることをお勧めします。

余命一カ月の相続税対策

余命一カ月の相続税対策

福田 郁雄,木村 祐司

幻冬舎メディアコンサルティング

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