前回までは、相続対策で活用するプライベートカンパニーの4類型について解説しました。今回は、通常は純資産価額方式で算出されるプライベートカンパニーの「株価」について見ていきます。

法人保有の資産をもとに株価を算出する純資産価額方式

プライベートカンパニーの「土地建物所有方式」は、簡単にいえば不動産投資をプライベートカンパニーで行うということです。この場合、プライベートカンパニーの株価は、基本的に純資産価額方式で算出されます。

 

純資産価額方式とは、法人が保有している資産をもとに株価を算出するもので、資産が不動産の場合は基本的に、相続税評価額が適用されます。

 

例えば市場価格で土地1億円、建物1億円の収益不動産をプライベートカンパニーが取得し、賃貸するとしましょう。市場価格が2億円の収益不動産は、東京都内では積算価格は8割程度になります。法人税法上の時価はこの積算価格だと思われます。

 

さらに、相続税評価額では、土地は路線価を基準とするので積算価格の80%、さらに貸家建付地の評価減20%を加えると、市場価格から見て約51%となります。建物については、固定資産税評価額がそのまま相続税評価額となり、積算価格に対して60%が目安です。

ローン残高が減ると「株価」は高くなるだけに・・・

さらに借家権割合を差し引くので、市場価格に対して約3分の1になります。このモデルにおいて、プライベートカンパニーの株価は3年後には約8500万円になります。

 

その時点で借入額が8500万円より多ければ株価はゼロとなり、贈与税なしで株式を贈与することが可能になります。

 

時間が経てば次第にローンの負債が減り、賃料収入の内部留保が増えていくので、株価は高くなっていきます。そこで、子どもの経営者としての自覚が生まれる段階で贈与したり、あるいは数年かけて少しずつ贈与するという方法も考えられるでしょう。

 

子どもが3人いれば、三つのプライベートカンパニーを設立し、それぞれ子どもにひとつずつ贈与するのもいいでしょう。これにより株の共有を避け、将来、遺産分割でもめることを防ぐ効果もあります。

本連載は、2015年9月19日刊行の書籍『余命一カ月の相続税対策』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。
〈税務の取扱に関する留意点〉
本連載の内容は、平成28年7月現在の税制・関係法令等に基づき記載しております。今後の税制改正等により税務の取扱等が変わる場合もありますので、記載の内容につきましては将来にわたって保証されるものではないことにご注意ください。個別の税務取扱い等については、税理士や所轄税務署等にご確認されることをお勧めします。

余命一カ月の相続税対策

余命一カ月の相続税対策

福田 郁雄,木村 祐司

幻冬舎メディアコンサルティング

突然やってくる“その時”、わずかな時間でできる対策は限られています。しかし、正しいノウハウをもってすれば、相続税対策は2週間程度で完了、相続税をゼロにでき、それどころか、子孫に受け継いだ資産がその後も増え続けて…

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