(写真はイメージです/PIXTA)

不動産を親子間で安く賃貸する場合、相続税や贈与税にどのような影響を与えるでしょうか? 本記事では、不動産法務に詳しいAuthense法律事務所の森田雅也弁護士が親子間の無償の賃貸が相続税・贈与税に与える影響について解説します。

不動産を親子間で無償で賃貸…「贈与税」への影響は?

贈与税とは、お金やモノなど金銭的な価値があるものをもらった場合に、受け取った人が支払うべき税金です。

 

また、無償で受け取った場合のみならず、本来の価額よりも安い価額でモノを購入した場合などにも、本来の価値と対価との差額に対して贈与税がかかる場合があります。

 

贈与税は、家族間のやり取りだからといって免除されるものではありません。親子間での贈与あっても、原則として贈与税の対象となります。それでは、マンションの1室などの不動産を親子間で無償賃貸した場合であっても、贈与税の対象になるのでしょうか?

 

■無償や低額の利益供与は原則として贈与税の対象となる

 

贈与税は、お金やモノをもらったときにだけ課税されるわけではありません。無償で利益の供与を受けた場合などにも、贈与税がかかります。

 

無償や低額での不動産賃貸は無償や低額での利益供与に該当すると考えられるため、原則として贈与税の対象になります。このことは、次のように、相続税法基本通達にも明記されています。

 

“夫と妻、親と子、祖父母と孫等特殊の関係がある者相互間で、無利子の金銭の貸与等があった場合には、それが事実上贈与であるのにかかわらず貸与の形式をとったものであるかどうかについて念査を要するのであるが、これらの特殊関係のある者間において、無償又は無利子で土地、家屋、金銭等の貸与があった場合には、法第9条に規定する利益を受けた場合に該当するものとして取り扱うものとする。”

 

まずは、無償や低額での不動産賃貸は贈与税の対象になり得るという原則を知っておいてください。

 

■不動産の無償や低額での親子間賃貸はなぜ課税されないのか

 

無償や低額での不動産賃貸は贈与税の対象になることが原則とはいえ、実際に無償での賃貸を理由に贈与税を支払っているケースは、それほど多くないのではないでしょうか。

 

これは、上で紹介した相続税法基本通達の続きとして、次の一文があることによるものと考えられています。

 

“ただし、その利益を受ける金額が少額である場合又は課税上弊害がないと認められる場合には、強いてこの取扱いをしなくても妨げないものとする。”

 

不動産の無償や低額での親子間賃貸は、この「課税上弊害がない」場合に該当すると考えられる場合が多いため、現実的には贈与税の対象になっていないケースが多いと言えます。

 

ただし、これはあくまでも例外的な措置です。「課税上弊害がある」と税務署側に判断されれば、原則どおり贈与税の課税対象となる可能性があるため注意が必要です。心配な場合には、申告を依頼している税理士へ相談することをおすすめします。

 

■贈与税非課税枠内なら問題なし

 

贈与税の計算期間は、その年1月1日から12月31日までです。この期間分に受けた贈与の額を合算して贈与税を計算しますが、贈与税の納税義務者である贈与を受けた人には、原則として年110万円の基礎控除額(非課税枠)が存在します。

 

そのため、たとえばその年中に他の贈与を受けていないのであれば、その年に本来支払うべきであった賃料(無償や低額で賃借したことにより利益を受けた額)の合計が110万円以下である限り、贈与税は課税されません。

 

こうしたことからも、贈与税を申告していなくても結果的に問題となっていないケースが多いと考えられます。

 

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本記事はAuthense不動産法務のブログ・コラムを転載したものです。

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