11ヵ月以下で退職した場合、退職給付の支給は…
④社長、役員が加入できない
中退共は、社長や役員は加入することができません。企業型確定拠出年金は社長や役員も加入可能です。
⑤従業員は原則全員加入させなければならない
中退共は、従業員は原則全員加入しなければなりません。例えば、勤続3年以上の者だけを加入させるといったことはできないのです。
企業型確定拠出年金では、選択制を導入すれば加入は任意です。
⑥加入期間が短いと不利になる
中退共は、長期加入者の退職金を手厚くするように制度が設計されているため、加入期間が短い時点で退職などをすると、極端に不利になります。
例えば、退職給付が支給されるには、加入期間が12ヵ月以上なければならず、11ヵ月以下で退職した場合は支給は「0」で、完全な払い損です。また、12ヵ月以降も、23ヵ月までの退職の場合、支給額は掛金支払い額よりも少なくなります。
24ヵ月から42ヵ月までの間の退職で、ようやく、掛金額と支給額が同じ金額、そして、43ヵ月以上の加入期間となって初めて、掛金額よりも支給額が多少増え始めるという具合です。
⑦事業主返還ができない
中退共の退職金は、中退共から直接従業員に支払われます。1~3年程度での短期退職者や、トラブルを起こして辞めた社員などに対しても、規定どおりの退職金が満額支払われることを経営者が不満に感じるケースもよく見られます。
なお、加入から1年以内に退職した場合は、退職金は支払われませんが、掛金の会社への返還はなく、掛け捨てになります。
企業型確定拠出年金では、加入から3年以内の自己都合の退職時には、掛金相当額を事業主に返還する設定が、規約によって可能です。
細川知宏
企業年金コンサルタント