土壌汚染や埋蔵文化財なども「リスク」として把握
前回の続きです。瑕疵担保責任を問われる可能性があるなど何らかの問題を抱えている不動産は、通常、実勢価格より低い値段でしか売れなくなります。その結果、十分な納税資金を確保できなくなり、相続税を支払うことが難しくなるわけです。
したがって、そのような事態を防ぐためには相続した不動産が問題(リスク)を抱えていないかをチェックし、もしあればそれを事前に解消するか、もしくは軽減しておくことが必要になります。
特に注意すべき「不動産の抱えている問題(リスク)」としては、先に挙げたコンクリートがらのような異物・障害物が土中に埋まっているリスクのほかに、下記の4つを挙げることができるでしょう。
(1)土壌汚染
(2)埋蔵文化財
(3)地下水
(4)高圧線
これらのリスクがある場合、とりわけ評価額と実際の換金額との間に大きな差が生じることになります。
2003年に施行された「土壌汚染対策法」がきっかけに
以下では、⑴から⑷の詳細について確認していきましょう。
(1)土壌汚染
土地が化学物質等で汚染されているリスクのことを一般に「土壌汚染リスク」といいます。
不動産取引において、この土壌汚染リスクが強く意識されるようになったのは比較的最近のことであり、その大きなきっかけとなったのは2003年に施行された土壌汚染対策法でした。同法では、人の健康被害を引き起こすおそれのある物質を「特定有害物質」と定めて規制しています(図表参照)。
なお、不動産取引においては、この土壌汚染対策法で定められている特定有害物質のほかに、以下の①から④なども土壌汚染の原因物質とみなされています。
①ダイオキシン類対策特別措置法のダイオキシン類
②油(油臭・油膜)
③自然的原因(カドミウム、鉛、六価クロム、水銀、ヒ素など自然の岩石や堆積物中に含まれているもの)
④各自治体が条例で規定する有害物質等
【図表 特定有害物質の表】
次回は、土壌汚染対策について見ていきます 。