(※写真はイメージです/PIXTA)

キャリアも家庭も順調に築いてきた姉と、離婚してひとり暮らしを続ける妹。余命宣告を受けた母親との貴重なひとときに、妹は姉への不満を炸裂させます。しかし、いつも妹をかばっていた母親が激怒してしまい…。限られた時間のなか、円満な着地は探せるのでしょうか。相続実務士である曽根惠子氏(株式会社夢相続代表取締役)が、実際に寄せられた相談内容をもとに、生前対策について解説します。

話し合いができない状態なら「遺言書」は不可欠

妹の状況を踏まえたうえで、いまからできることを考えたいというのが、山本さんの相談内容でした。筆者が話を聞いた限り、冷静な話し合いは難しいだろうという印象を持ちました。

 

このような局面では、母親の遺言書が必須です。これまで積み重なってきた山本さんへの不満や嫉妬の気持ちを考えると、協議をしても話がこじれ、まとまらない可能性は高いといえます。

 

筆者からは母親の遺言書は必須である旨アドバイスしました。

妹と均等に分配し、「その後のトラブル」を予防

妹はまだ40代で、これから先も長い人生が続きます。そのため、財産は「ほどよく分ける」ことが必要です。

 

まずは自分が財産を引き継ぎ、現金化するつもりだという山本さんですが、筆者は、不動産を処分したあと、等分に分けることが妥当だとアドバイスしました。ここでバランスを欠いてしまうと、さらなる感情のもつれが生じるリスクがあるからです。

 

母親に遺言書を書いてもらえば、相続時に協議することなく「母親の意思として財産を渡せる」「遺言執行者を指定しておくことで速やかな手続きができる」といったメリットがあります。感情的な対立がある場合、円満な話し合いは難しいため、まずは母親に、バランスを保った遺言書を作成してもらうことが重要です。

 

山本さんは「母親を説得してみます」といって、事務所をあとにされました。

 

同じ屋根の下に育ったきょうだいでも、不満を募らせ、話し合いが不可能なほど関係がこじれてしまうケースもあります。しかし、遺言書での意思表示があれば、相続発生後のスムーズな対処が可能となるのです。

 

 

曽根 惠子
株式会社夢相続代表取締役
公認不動産コンサルティングマスター
相続対策専門士

 

◆相続対策専門士とは?◆

公益財団法人 不動産流通推進センター(旧 不動産流通近代化センター、retpc.jp) 認定資格。国土交通大臣の登録を受け、不動産コンサルティングを円滑に行うために必要な知識及び技能に関する試験に合格し、宅建取引士・不動産鑑定士・一級建築士の資格を有する者が「公認 不動産コンサルティングマスター」と認定され、そのなかから相続に関する専門コースを修了したものが「相続対策専門士」として認定されます。相続対策専門士は、顧客のニーズを把握し、ワンストップで解決に導くための提案を行います。なお、資格は1年ごとの更新制で、業務を通じて更新要件を満たす必要があります。

 

「相続対策専門士」は問題解決の窓口となり、弁護士、税理士の業務につなげていく役割であり、業法に抵触する職務を担当することはありません。

 

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    本記事は、株式会社夢相続のサイト掲載された事例を転載・再編集したものです。

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