最もキャッシュを残すための役員報酬シミュレーション
では、具体的に会社がどの程度利益を得ているときに、役員報酬をどのように設定すればよいのでしょうか?
計算が複雑になりやすい個人の役員報酬側面からみていきます。次の表は、簡易的に年収と税負担率のシミュレーションをしたものになります。
ケース①役員報酬の額面1,000万円
年収1,000万円だと個人の税負担は実質、額面の約27%です。
法人実効税率は25%~35%のため、大部分のケースでは「個人の税負担率<法人実効税率」となり、役員報酬の払い過ぎということはほぼありません。
しかし、仮に役員報酬の一部を減らしても法人の利益が800万円以下になるような場合は、見直した方がいいこともあります。法人税15%が適用になると、法人実効税率の方が低くなり、個人の年収を少し減らして法人に持っていくことで、支払額を減らすことができる場合もあるためです。
極端な話、年収が1,000万円で法人の利益がゼロの場合は、税負担という意味では損をしていることになります。例えば500万円を法人の利益に持っていけば、税負担の総額は当初以下に抑えることができます。
ケース②役員報酬の額面1,500万円~2,000万円
年収1,500万では、個人としての税負担が実質30%を超えてきて、年収2,000万円になると、その割合は35%に近づきます。つまり、法人実効税率の上限と同じ位になります。
年収1,000万円の例で紹介したのと同様に、これだけの役員報酬に対して会社の利益が800万円以下であれば、税負担という観点では、役員報酬の減額を検討したほうがよいでしょう。
一方で、会社の利益が800万円以上ある場合は「個人の税負担率≒法人実効税率」となります。そのため、役員報酬2,000万円近辺が、トータルの税負担でみたときの損得の判断として、ちょうど境目のラインといわれるのです。
ケース③役員報酬の額面2,000万円超
役員報酬額が2,000万円を超えてくる場合にはどうなるのでしょうか。先ほどの図表2を再掲します。
仮に、役員報酬としての年収が3,000万円だと、税負担率が約39%になります。これが5,000万円だと約44%、そして年収が1億円まで行くと、税負担率が約50%になります。
年収3,000万円のケースでも「個人の税負担率>法人実効税率」となっており、役員報酬の年収が増えるほど、差は一層開いていきます。
法人はいくら利益をあげても税負担は35%程度なので、会社と社長の財布が一体となっているオーナー企業の場合、税負担で考えると役員報酬を3,000万円以上にする必要性はないということになります。
ケース④役員報酬控除前の法人利益3,000万円
シミュレーションの最後に、法人利益も加味した最適な役員報酬の考え方を紹介します。
この図表3は、役員報酬を控除する前の法人の利益が3,000万円のときに、役員報酬を0円から3,000万円まで、100万円刻みで設定すると、法人と個人の手取りの合計がどう変化するかを計算したものです。
図表3の1番上が、役員報酬を0円にしてすべての利益を法人に残す場合で、逆に図表3の1番下が、役員報酬を3,000万円にするケースです。当然ですが、表が下に進むにつれ、個人手取りは増えていき、逆に法人税引き後利益は減っていきます。そして、1番右の列が、個人と法人の手取りの合計を示しています。
例えば、役員報酬を3,000万円で法人利益を0円にした場合、個人・法人の手取り額合計は1,718万円です。
一方、13行目の役員報酬1200万円の場合であれば、個人・法人の手取り合計額が、2012万円と最も多くなり、役員報酬3,000万円のケースと比べると、約300万円の差が出ます。
役員報酬が1,000万円か1,200万円かで見ると合計が2万円しか違わないため、そこまで気にする必要はないかもしれません。しかし、役員報酬を上げていけば、徐々に差が大きくなり、無視できない金額感になることもあります。
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