クパチーノ学区では「アジア系」の生徒が多数を占める
前回に引き続き、地域の学力が土地の価格に及ぼす影響について見ていきます。
まずは、アップル本社のお膝元であるクパチーノ学区(正確には、クパチーノの高校学区は「フリーモント・ユニオン高校学区」と言います)で、APIが900点を超える2校のAPIの詳細を見てみましょう。
[図表1]モンタ・ビスタ高校(クパチーノ学区)のAPI
[図表2]リンブルック高校(クパチーノ)のAPI
クパチーノ学区、2校の生徒を見てみましょう。2011年度モンタ・ビスタ高校の全校生徒1,871名のうち、なんとアジア系が1,450名を占めます。割合にして77.5%もの生徒がアジア系なのです。
一方、リンブルック高校では、1,269名のうちアジア系が1,039名を占めます。これも割合にして81.9%にのぼります。さらにいずれの高校も、アジア系のAPIが、驚くことに他をおさえ960点台もの高得点を叩き出しています(白人・フィリピン系は800〜900点台)。
最近、クパチーノのスタバで商談を行ったことがあるのですが、店内のお客全員がアジア系という体験をしたのも、決して偶然ではないということが分かります。
対照的に「多様な人々」と学べるパロアルト学区
また比較する意味で、これとは対照的な、スタンフォード大学のお膝元であるパロアルト学区で、APIが900点を超える2校のデータも見てみましょう。
[図表3]ガン・ハイ(パロアルト学区)
[図表4]パロアルト高校(パロアルト学区)
パロアルト学区ではどうでしょうか? 2011年度、ガン・ハイのアジア系比率は39.3%、パロアルト高校の場合は23.2%とむしろ白人の方が多数を占めており、また黒人・ヒスパニックの人数も比較的多くなっております。
パロアルトの住民に言わせると、ダイバーシティ(多様性)の中で子供を教育させたいというリベラル派の両親が、クパチーノよりもパロアルトを選ぶ傾向にあるとのことです。ただ、この数年は不動産高騰のあおりを受けてか、アジア系の比率が数パーセント増加していることは気になるところです。
UCバークレー校、ペンシルバニア大学ウォートン校などで、APIと住宅価格の相関関係を研究テーマにした論文をいくつか見つけることができますが、結論的にはAPI100点の差は、住宅価格にして3〜4%の差で現れるということです。
これらのデータは2000年代前半のものを使用しているのですが、リーマン危機から10年後の2010年代に置き換えてみれば、おそらくそれ以上の価格差となっているのではないかと筆者は直感的に感じています。
本来ならばデータをマイニングして実証したいところですが、今回は時間の関係で割愛させていただきます。