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ロードマップ2:【年収1000万~3000万円編】
■減価償却を活用できる物件で「家賃収入、税還付」の両方を享受
この年収帯の方の場合は、そろそろ累進課税による所得税が重くなってくるタイミングです。なので、1発目から「1億円・木造・法定耐用年数切れ」を狙います。
利用する金融機関としては、2021年現在では静岡銀行・オリックス銀行・香川銀行が中心にはなりますが、先述の理由と同じく極力、静岡銀行を選択していきたいところです。
1棟目の購入を思ったような条件で達成できると、4年間の途中経過までで、購入時諸経費を差し引いても本業以外から1000万円近くは手元につくれるはずです。
また、その道中で本業からも頑張って年間250万円を貯められれば、4年間合計で2000万円ができます。そして、経営がある程度安定してきたタイミングで、特にサラリーマン属性の場合はパッケージローンの融資上限まできっちり使い切るために、物件を追加で購入します。このときに買える物件規模はそれぞれの状況によって異なります。
また、パッケージローンを使い切った後は三井住友トラストL&F、セゾンファンデックスといったノンバンクの融資枠を使います。そこまで使い切れるころには、3~6棟程度の物件規模になっているはずです。そして売却なども絡めながら金融資産が手厚くなってくると、属性的に多くの地銀が振り向いてくれるようになります。ただし、地銀・信金は期間があまり延びません。返済期間15年程度、金利2.0%前後が相場です。
それ以降のルート分岐としては二つあります。
一つ目としては5~6年のサイクルで物件の入れ替えを行いながら償却資産を常に手元にキープし、同じような規模を安定的に保ちながら本業からの貯金・税金還付・家賃の残りを貯め続け、結果的に10年後に5000万円~1億円をつくり、そのあとで地銀・信金と付き合うという方法です。
もう一つは、運営期間中の瞬発的な成長速度は落ちますが、地銀や信金の条件を早い段階で呑み、しかも自分で返済できるギリギリまで返済期間を短く取って、元本をガンガン返済していくという方法です。
前者はイメージしやすいと思いますが、後者はあまりイメージできないかもしれません。
これはかなり特殊戦術ですが、借入元本を一気に返していけば、売却時に手元に残せる金額が大きく変わります。なので、どうせ融資期間が長く取れないのであれば、いっそ毎月のキャッシュフローには目をつぶりトントンでやり過ごし、現金の増加は確定申告の際の還付に頼るとして、長期譲渡のタイミングまでひたすら耐え忍び、売却時に一気に現金を回収するという方法です。
■年収1000万~3000万円の層だからこそ「大型物件」が効率的
また、不動産に対する融資はかなり時期性があるもので、今はだめでも数年後に一瞬融資が緩んだり、そういうタイミングが巡って来ることがあります。そういうときには小規模な物件の取得を挟むのもありだと思います。
いきなり1棟目で1億円は怖い、という方も結構いらっしゃいますが、じゃあ1000万円の2世帯アパートから始めたとして、賃料収入の面からも節税の面からもなかなか効果は得にくいです。この年収帯の場合は所得税還付を無視するやり方は決して効率的とはいえないので、基本的にはパッケージローンを活用して大型物件を運用しつつ、自分の年収・金融資産の属性が上がってきたら、「なかなかお付き合いできない金融機関」から優先して借入をしてみるのが、将来的な拡大の目線からいうといちばん良いと思います。
この年収帯は、社会的に見れば属性はありますが大金持ちともいい切れない、いろいろな金融機関が融資対象として見てくれるかどうかのちょうど瀬戸際の属性なので、意図的に接触機会をつくりに行って借入と返済の実績を積み重ねることも重要です。
特に40代後半~50代以降の方については、将来的には仕事を定年になっても(あるいは自営業者の場合は自身が事業の第一線から退いても)専業大家としての属性だけで借入をし続けるために、その下地をつくる段階として、一本は地銀・信金での融資と返済の実績が欲しいところです。